怖さの指標その一、致死率
ウィルスの「怖さ」を測るのに様々な指標を研究者は使いますが、煮詰めてしまえば二つのものを数値化しようとしています。
ウィルスの感染力と、感染した際の危険度です。
この二つを理解することで、パンデミックと丸腰で闘う場合の厳しさが分かるとされています。
因みに丸腰というのは、ワクチン、薬、マスク、ソーシャルディスタンスなどといった予防、治療、対策を行わない場合という意味です。
ついでにある程度対策がなされた後であれば、これらの指標から対策の効果を測ることも可能です。
ともあれ指標の一つとしてよく使われているのがウィルスによる致死率、つまり感染した場合の死んでしまう確率です。
よく使われる指標なので、数話をかけてじっくり致死率の研究についてご紹介していきましょう。
とその前に。
「致死率を知りたければ、政府やら医療機関やらのホームページを調べればいいではないか。なぜわざわざ論文を読む必要があるのか」と思ったそこのあなた。
その数字、信用してもいいものですか?
なんだか思いもよらず、懐疑的というか反社会的とも捉えられる台詞となってしまいましたので、言い方を変えましょう。
その数字がどうやって求められているか、ご存知でしょうか?
基本的には報告されている国内の件数から割り出すか、それこそWHOなどといった機関が発表している致死率を引用するかというのが、一般的かと思います。
ですが新型のウィルスのパンデミックと対処する中、これらの致死率は正確ではない可能性があり、妄信するには、あまりに心許無いものです。
今回はなぜ公表されている致死率は実際のウィルスの危険度を捉えきれていないかという理由も少しばかし説明しています。
では論文を読めば正確な数値が知れるのかと問われますと、そういうわけでもありません。
ですが様々な専門家が、多くが知られていないウィルスについて考え抜いた仮定や画期的な手法を使って導き出した答えを知ることで、ある意味致死率としての有力候補や最悪のシナリオに触れることができます。
いうなれば論文ではある程度の自由が許されます。
研究の肝として数理モデルや統計学を使うのであれば、算出される致死率は推測です。ですが政府などの公的な場でこれらをそのまま発表してしまえば、憶測になりかねません。そういう意味では絶対的に把握されている死者数、感染者数というのは比較的安心して公表できる数値と言えるでしょう。
ですが、確認されている数ばかりを追っていては後手に後手にと回ってしまいます。
研究の出番となります。
なので早速致死率の研究の話に移りましょう。
まずは、パンデミックの初期によく見られる、致死率の変動とその要因について。
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