永遠の銀十字

青星明良

主な登場人物の紹介

<主要人物>


〇シャルル・ダルタニャン

この物語の主人公。

近衛銃士隊の古参の銃士。本名はシャルル・ド・バツ・カステルモール。ガスコーニュの田舎貴族の四男。

太陽王ルイ十四世や王母アンヌ・ドートリッシュ、宰相マザランらに厚く信頼された剣士。

1673年にシャルルが戦死したという報告を聞いたルイ十四世は王妃への手紙で「私はダルタニャンを失ってしまいました。私が最も大きな信頼を寄せていた男です。何事につけても私によく仕えてくれた男でした」と嘆いたという。

ブルボン王朝時代を描いた私の過去作『愛の果てのブルボン』『ダルタニャンとマリー・ド・メディシスの陰謀』『花の都の動物裁判』の全てに登場している。




〇シャルロット

この物語のもう一人の主人公でヒロイン。

イングランドのバッキンガム公爵の私生児。母のリゼットはアンヌ王妃の侍女だったが、バッキンガム公爵とアンヌ王妃の不倫事件が原因で宮廷を追放されていた。

母はバッキンガム公爵の死後、スペインの将軍フランシスコ・デ・メロと結婚。母が死ぬと、義父であるフランシスコ・デ・メロはフランスの貴族モットヴィル伯爵にシャルロットを嫁がせようとする。

モデルは、アンヌ王妃の侍女だった実在の女性モットヴィル伯爵夫人。




〇アルマン

近衛銃士隊の古参の銃士。フルネームはアルマン・ド・シレーグ・ダトス・ドートヴィエイユ。三銃士のアトスのモデルとなった人物。

父はアトス・オトヴィルの領主。母が銃士隊長代理トレヴィルの従姉妹。

デュマの『ダルタニャン物語』ではダルタニャンよりもずっと年上だが、史実の彼はシャルル・ダルタニャンとほぼ同年代。

過去作『ダルタニャンとマリー・ド・メディシスの陰謀』でも主人公シャルル・ダルタニャンの相棒として登場。




〇イザック

近衛銃士隊の新入り銃士。フルネームはイザック・ド・ポルトー。三銃士のポルトスのモデルとなった人物。シャルル・ダルタニャンよりも2歳年下。

トレヴィルの親類で、アトスの従弟。ベアルンの中心都市ポーに生まれ、同郷のトレヴィルを頼ってパリに上京する。

ポルトー家は熱心なプロテスタントで、祖父アブラムはナヴァール王時代のアンリ四世に司厨役として仕えていた。(拙作『愛の果てのブルボン』でちょい役で登場している)




〇アンリ

近衛銃士隊の銃士。フルネームはアンリ・ダラミツ。三銃士のアラミスのモデルとなった人物。

トレヴィルの年の離れた従弟。シャルル・ダルタニャンよりも5歳年下。

祖父ピエール・ダラミツはナヴァール女王ジャンヌ(アンリ四世の母)に仕えたプロテスタントの武将。(拙作『愛の果てのブルボン』にも登場)






<フランス・ブルボン王朝>


〇ルイ十三世

ブルボン朝2代目フランス国王。父アンリ四世の暗殺により幼くして王位につくが、実権は母のマリー太后が握った。母を追放した後はリシュリューを重用する。アンヌ王妃の不貞に悩んで若はげになり、22歳でカツラを着用。カツラをヨーロッパに普及させた。

病弱だったが、スペインとの戦争では自ら軍を率いて勇敢に戦い、スペインに奪われた領土を奪還した。

しかし、アンヌ王妃との夫婦生活は最悪で、王妃のアンヌは弟であるスペイン王と密かに手紙のやり取りをしたり、サン・マール公爵のクーデター計画に加わったりした。

ルイ十三世は、たびたび夫を失望させるアンヌのことを信じることができず、自分の死後にアンヌの摂政としての権限を制限する遺言を残した。また、晩年に生まれたルイ十四世とフィリップが本当に自分の息子だろうかと悩んでいたようである。




〇アンヌ・ドートリッシュ

ルイ十三世の王妃。父はスペイン王フェリペ3世。

フランスとスペインの友好のために嫁ぐが、夫のルイ十三世とは不仲で子宝に恵まれず、リシュリュー枢機卿とはスペインとの関係をめぐって対立。イングランドのバッキンガム公爵と恋に落ち、これが遠因となってラ・ロシェルの包囲戦が勃発してしまった。

ルイ十三世の死後、摂政としてフランスに君臨。愛人の宰相マザランと二人三脚で反国王勢力と戦っていく。




〇ルイ14世

ブルボン王朝の最盛期の太陽王。

父の死後、宰相マザランの補佐のもと国王となる。

この物語ではまだ幼い子供である。

拙作『花の都の動物裁判』では、壮年期のルイ十四世が登場している。




〇オルレアン公ガストン

アンリ四世の三男。ルイ十三世の弟。グランド・マドモワゼルの父。

母のマリー太后とともにリシュリューを倒そうとしたが、失敗。希代の悪女シュヴルーズ公爵夫人とも手を組んでいた時期があった。

兄であるルイ十三世に何度も背き、肝心な時には仲間を捨てて逃亡を繰り返したため、すっかり人望を失っている。

ちなみに、私の児童小説『花の都の動物裁判』のヒロイン・マリーのお父さんでもある。




〇グランド・マドモワゼル

本名はアンヌ・マリー・ルイーズ・ドルレアン。オルレアン公ガストン(ルイ十三世の弟)の長女。太陽王ルイ十四世の従姉にあたる。

とても背の高い少女で、まだ幼児のルイ十四世に執拗に結婚を迫っている。

私の児童小説『花の都の動物裁判』のヒロイン・マリーの姉にあたる人物。




〇マザラン

ジュール・マザラン。リシュリュー亡き後のフランス宰相。イタリア人の枢機卿。

ローマ教皇に仕えていたが、リシュリューに見込まれてフランスに帰化。幼い国王ルイ14世を補佐する。

王母のアンヌとは愛人関係にあり、秘密結婚していたとされる。






<近衛銃士隊と関係者>


〇トレヴィル

本名はアルノー・ジャン・デュ・ペイレ。フランス国王を守る近衛銃士隊の隊長。

父親のジャンは、元はオロロン市の商人で、ピレネー山麓のスール渓谷にあるトレヴィルという貴族領地を購入して貴族になり、子爵の地位を手に入れた。

17歳の時にパリに上京。武功を積み、創設されて間もない近衛銃士隊の隊長代理に抜擢された。ラ・ロシェル包囲戦では負傷しながらも戦功をあげる。そして、1634年に銃士隊長となる。(名義上は国王のルイ十三世が銃士隊の隊長なので、トレヴィルは隊長代理という肩書だった)




〇コンスタンス

デュマの『ダルタニャン物語』では主人公ダルタニャンが恋する下宿屋の人妻として登場しているが、今作では銃士隊長トレヴィルの娘という設定。

アンヌ王妃に侍女として仕え、トレヴィルとの橋渡し役をつとめて王妃を支えていたが……。

ちなみに、私の過去作『ダルタニャンとマリー・ド・メディシスの陰謀』でも、コンスタンスはトレヴィルの娘&アンヌ王妃の侍女という設定だった。このシリーズがもしも続いた場合、彼女の末路はどうなっていたか……といった部分が本作では描かれている。






<ブルボン王家の打倒を目論む敵>


〇シュヴルーズ公爵夫人

本名はマリー・ド・ロアン。アンヌ王妃が信頼する唯一の友。フランスをめぐる様々な陰謀に関わった女性。

ルイ十三世を国王の座から引きずり降ろすため暗躍する。アンヌ王妃とバッキンガム公爵の不倫、リシュリュー暗殺未遂事件などなど常にフランスで起きる陰謀の中心にいた黒幕。




〇イグナシオ

スペインの将軍フランシスコ・デ・メロの隠密部隊ベンガンサを率いる隻眼の剣士。

かつてシャルル・ダルタニャンと戦い、左目を奪われたことがある。シャルルに対する復讐心に燃え、彼をつけ狙う。




〇フランシスコ・デ・メロ

スペインの将軍。アスマル伯。シャルロットの養父。

枢機卿王子フェルナンド(スペイン王フェリペ四世の弟)の死後、彼の後任としてフランドル地方(ネーデルラント南部。現在のベルギー~北フランスの領域)の総督となる。

隠密部隊のベンガンサ隊を使い、フランスのブルボン王家を内部から切り崩そうとと企んでいる。

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