1日目

 俺の名前はクレイグ・マケイン。個人で記者をやっている。


 ただ誰かに読んで貰いたい。という理由ではなく、自分の聞いた事、見た事、感じた事をただ記録に残したいんだ。だから、やっぱり記者というのも可笑しいかな。


 そう僕はある日、ホテルの一室で今日の何の変哲も無い日記を書いていた。ふとテレビを点けたら、良くある話だがとある路地裏で腐敗した死体を発見したというニュースがやっていた。警察はそれを他殺と見て捜査を進めている様だ。


 人の死は本当に儚い。僕はそう思っている。いつ何処でどの様に死ぬかなんて誰も予想は出来ず、時には死ぬ事がほぼ確定した病気に掛かって病死。時には思いがけにもよらない突然の出来事で死ぬ。こう日常を記録している僕もいつ死ぬかなんて誰も分からない。


 ただ人間は凄い。そんないつ死ぬかも分からない人生で、ずっと怯えている訳も無く、いつか死ぬまでの時間を全力で楽しんでいる。勿論、全員がそういう心を持っている訳では無いが、少なくとも『明日死ぬかも知れない』なんて怯えている人はとても少ない。


 さて、今僕が記録している時間は、八月の真夏日だ。外は勿論、汗が滝の様に流れる程暑く、ホテルにいる僕は冷房を最低温度に設定して、部屋を思いっきり涼しくしている。


 夏という時期は、兎に角虫が多く見える様になるよね。特に一番嫌なのは蚊かな。刺される前に外へ出てる時には虫除けスプレーは必需品だ。


 とまぁ、僕はいつもこんな感じだ。誰かが興味を持つ様な話題も無く、ただ頭の中で思いついた最近の事や、身の回りで起きた事を何となく記録する。


 もし今回に限って一つの話題に焦点を置くとするなら……今さっきたまたま見つけた腐敗死体の話題かな。別にこの話題を取り上げる事に関して特に理由は無い。


 ただ僕の身の回りで起きた事に過ぎないんだから……。

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