第7話 ごめんなさい。《能力奪取》の取得が難しいとか嘘です。

「お前のスキルを貰いに来た」


 これが合言葉だ。

 この言葉を告げることによって、アリババの試練が始まるのだ。


『我のスキル《能力奪取》は資格のある者、そして尚且つ、扱いこなせる者でなければならない』



 やはりこの世界でも取得難易度はかなり高そうだ。


 資格のある者、それは職業が【盗賊】であること。


 そして扱いこなせるという者は──アリババの試練を乗り越える事が出来た者だ。



『──で、あるならば其方に渡すのは道理にかなう』



「なんだって!?」



 おかしい……。

 今からアリババの試練を受けるはずだというのに、何だそれは……。



『それでは其方に我がスキル《能力奪取》を授けよう』



 霊体から光の球体が飛ばされてきて、俺の身体に入っていった。


 間違いない、これで俺はアリババより《能力奪取》を授かった。



『ではさらばだ。強欲なる者よ』



 アリババの霊体はそう告げ、消えて行った。



「……一体どういうことだ?」



 俺は混乱していた。

 これから試練が始まると思っていたのに、何故か既にクリアーしていることになっていた。

 ……この世界とDSOは繋がっているのか?



「ふぅ……知ることの出来ないことは考えるだけ無駄だな」



 こんなことを昔の哲学者も言っていた気がする。



 とにかく今は《能力奪取》を取得出来たことを喜ぼう。



「よっしゃああああああああぁぁぁぁ!!!!」



 俺はひたすらに歓喜の声をあげながらアリババの棺桶を埋めた。





 しかしこうも楽に《能力奪取》を取得出来てしまうとはな。


 ふふふ、自然と頬が緩んでしまうな。


 実は《能力奪取》を取得してから間も無くして俺はDSOを引退したのだ。


 なので《能力奪取》を使って強くなっていくのはこれが初だ。


 だが、このスキルは効果がおかしすぎるので、強くなるための選択肢はかなり多い。


 まぁ今の俺はステータスも低く、スキルも《能力奪取》しか所持していない。


 手始めに最初の奪取スキルはア・レ・にするとしよう。





 [ スキル ] 《能力奪取》


 [ ランク ] EX


 [ 効 果 ] 敵モンスターのスキルを1つ奪うことが出来る


 [ 条件1 ] 敵モンスターと10分間の戦闘を行う。ただし、敵モンスターを状態異常、または気絶させた場合は時間にカウントされない。


 [ 条件2 ] 奪取対象のスキルを戦闘中に3回使用させる必要がある。


 [ 条件3 ] モンスターとの戦闘は一人で行わなければいけない。従魔との共闘も不可である。


 [ 条件4 ] 10分経過後、モンスターを一撃で仕留めることでスキルを1つ奪うことが出来る。

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