第17話 神の放置

「貧しい子供たちにお恵みを。」

 孤児院の子供たちが募金活動をしている。

「ありがとうございます。」

 募金してくれた人に感謝のお礼を言う子供たち。

「いっぱい貯まったな。春。」

「そうだね。このお金で僕たちみたいな貧しい人々を助けよう!」

 佐藤春。根性が神の様に優しい。

「真面目か!? おまえの真面目さには俺も負けるよ。」

 鈴木夏。運動神経抜群の普通の子。

「貧しい人を助けたければ株かFXでもしよう。いっぱい儲かるぞ。」

 高橋秋。勉強が大好きな子。

「この金でギャンブルしようぜ! 儲かったらウハウハだ!」

 田中冬。今時のチャラいヤンキーの不良。

「あははは。そう言わないで。僕たちも孤児院に育ててもらったから今も生きているんだから。」

「そうだな。」

「寄付された本も腐るほどあるしな。」

「貧乏くさい。俺はお金持ちになってやる!」

 4人の個性は違えど、同い年で同じ孤児院で育った仲間だった。


「これだけでも話が詰めすぎ?」

 今時の現代人にはこれぐらいでは分からないのだろうか? それとも理解ができないのだろうか?

「第2話から同じことの繰り返しにしなければ、現代人は理解できないのか?」

 恐るべし活字離れ。無料ゲームに漫画。IT化が進めばドンドンダメになる人間。

「もっとシンプルに。」

 考えねば。


「教会の懺悔部屋。」

 神父見習いの春は悩める子羊の人間の話を聞く。

「分かりました。あなたの恨みを晴らしましょう。」

 現代ドラマと異世界ファンタジーの難しい所だ。

「己の行いを神に懺悔しなさい。」

 神の斬撃。目で見えない速さで人を切り裂いて絶命させる。

「アーメン。」

 春は何事もなかったように去って行く。

「必殺仕事人みたいだな。」

 中村モンドでございます。現代ドラマでも異世界ファンタジーでもできなくはない。

「でも神父見習いが連続殺人犯。」

 つまらない現代ドラマ・映画って、犯人かもしれない凶悪犯をたくさん出して、最後まで殺人犯が神父にたどり着かない。


「異世界ファンタジーでいうと、回復魔法を持っている人を殺す。すると剣が血を吸うではなく、剣が回復魔法を覚える。」

 なんか違うな。

「お友達が死ぬ。そのお友達の想いが剣に宿る。お友達の強さを手に入れる。」

 想いが宿る剣。

「呪剣。」

 恨みの募る剣。

「本当にあれだな。設定や舞台を変えただけで、全ての物語の内容は同じだな。」

 全ての作品が同じになるのは仕方がない。だって人間だもの。


 1、日常。

「神父見習い様、ありがとう。」

「気をつけて変えるんですよ。」

 春は教会の神父見習いをしている。

 2、事件。

「迷える子羊の懺悔部屋へようこそ。」

「いじめられて嫌なんです。もう死にたいんです。」

 春は教会で人の悩みを聞いている。

 3、決意。

「あなたの命と引き換えにね。」 

 まだ春は何もしない。

 4、苦境。

「いじめられたくない!」

 迷える子羊が天国に行く。

 5、支援。

「あなたの恨みを晴らしましょう。」

 春が迷える子羊の敵討ちを決める。

 6、成長。

「ターゲットはあのゴミか。」

 春はターゲットの日常を見る。

 7、転換。 

「悔い改めよ!」

 春はターゲットを地獄へ送る。

 8、試練。

「警察だ。」

 春の元に警察がやって来る。

 9、危機。

「まさか!? 子供が!?」

 春の正体がバレそうになる。

 10、糸口。

「これは貸しですよ。」

 春は警察の捜査を助ける。

 11、対決。

「逮捕する!」

 春と警察の戦い。

 12、排除。

「知られたからには消えてもらいます。」

 春は正体を知った警察官を消す。

 13、満足。

「神父見習い様、おはよう。」

「おはよう。みんな。」

 春は何事も無かったように日々の暮らしに戻る。


「あなたの恨みを晴らしましょう。犯人は神父見習い。」

 タイトル。

「簡単にストーリー構成ができてしまう。」

 必殺仕事人に、ルパン三世を連想しちゃうな~。


「結局、ダラダラ中身のない60分ドラマ? 120分映画?」

 飽きる。

「決めゼリフを聞くだけの中身のない同じことの繰り返しのドラマ?」

 ドクターX、水戸黄門などの繰り返し作。

「60分ドラマを30分ドラマにすれば、中身の濃いドラマになるだろう。」

 そうか。薄っぺらいのか。倍速音声有りぐらいでちょうど良い。

「中身を濃くする。制作側が疲れちゃう。」

 ゆっくりまったりでも続くドラえもんやアンパンマンは偉い。

「もっとシンプルに。」

 文字に直すと1話1000字いかないドラえもんやアンパンマン。

「最後はアンパンチ!」

 オチは同じことの繰り返しなので、毎回の新しい秘密道具か、その話のゲストで話を膨らませないと文字数が稼げないドラえもんやアンパンマン。

「急かされて1週分で2、3話分の現在の週刊誌のワンピース。」

 逆にアニメのワンピースは1話で0、5くらいしか進まない。 

「でも、既存のプロがそれでお金が儲けれるから良いと放送しているのだから、人気かさえすれば内容は何でも良いのだろう。」

 そう言い聞かせなければ先に進めない。子供が大人を嫌いになる訳だ。


「1話1000字以下でも悪い訳ではない。」

「1話1行程でシンプルに。」

「決めゼリフ有りの同じことの繰り返しでOK。」

 この辺がキーポイントか?

「毎回の変化。新しい秘密道具か、ゲストキャラクター。」

 まさにドラえもんやアンパンマン。


「上記の13構成2行書きを清書した。」

 次話で。400字だった。後で肉付けをしてみよう。

「それでも1話読み切りレベル。」

 1話で何をするか? 若しくは最終目標は何なのか?

「探偵、医者、警察、弁護士モノばかり。」

 なぜか!? 事件が起こり最終目標は事件の解決。次話には新しい事件が起こる。苦労しない物語ばかり既存の作家さんは選ぶ。パクリスペクトルイージしよう。アハッ!

「連続殺人犯は見習い神父。」

 も結局は、上記と同じになる。

「連続殺人犯は幼稚園児。」

 話題になるな。PTAから苦情がくるわ。

「でも幼女戦記。ウケたな?」

 現実ではなく異世界ファンタジーだから許される。

「結局、連続ドラマだと必殺仕事人と同じ構成で問題はない。」

 ウケるにはウケるだろうね。

「爽快さに痛快さ。」

 求められるのはその辺だろうね。

「例えると60分ドラマなら水戸黄門が3回は印籠を出して悪代官を3回は倒さないと面白いスピーディーな作品にならない。」

 だから毎回、間にうっかり八兵衛やお銀の入浴シーンで時間を稼いでいるのか。悪代官の手下とも軽く戦い、地元の人を助け親しくなる。そこから命も狙われる。風車の弥七が悪代官所に乗り込む情報を持ってきてくれる。

「ああ~!? 60分ドラマをこなそうと思ったら内容はツメツメ? それともくだらないシーンを加えて尺を稼ぐ?」

 仮に主人公がいたら、主人公だけなら10分で終わる。尺を確保するために、どんどん仲間が増える。各仲間のパートを描いていれば、人数が増えれば増える度に尺を満タンにしやすい。

「ドラえもんやアンパンマンは新しい秘密道具1個、ゲストキャラクター1人。」

 だから15分アニメか。

「3個で30分アニメ。10個で60分ドラマか。」

 なんか登場キャラクターを増やし過ぎて1人1言くらいしか喋れないけど、自分が自然にやっていたことは正しかったんだね。こんだけ分析しないでも勝手にできているんだから。


「人間の感情か?」

 結局、現代ドラマだと人の心理をセリフにして、人と人の捜査を話し合うぐらいしかない。

「結局、人間の会話しかない。」

 ここでセリフでなくグダグダやっていることを登場キャラクターのセリフにしてしまう。

「ああ~、作家さんと編集さんか。」

 二人芝居の会話で成立。

「人間は一人では成立しないのか?」

 一人なら独り言で成立か。


「新しい秘密道具、ゲストキャラクター、誰かが死ぬ事件」

 毎回同じ内容の繰り返しの上記の設定を考えよう。

「医者モノは決めゼリフがあるかないかだけで内容は同じだ。」

 設定すら考えていないのだから。

「でも、それで一般大衆にウケれば勝ち。」

 皮肉なモノだ。考えれば考えるだけで損だな。プロがそれでいいのだから。

「その路線でいこう。」

 おお!


「最近、勇者の王道はない。」

 でもアニメには数は少なくても勇者の方がなりやすそうだ。だって王道だもの。

「ラノベって、変なの主人公が多いんだよね。」

 ウケを狙って売れない。

「王道というか、その変な物語で主人公がカッコ良く活躍できればファンはついてくる。」

 アニメオタクって、そういう人たちよね。


「勇者!」

 王道です。

「勇者! 魔王を倒す!」

 王道です。

「勇者! 姫を救う!」

 王道です。

「ああ~! 最近のプロもアマも作品が駄作過ぎて、10月からダイの大冒険が始まるそうな。」

 無茶苦茶、王道の勇者モノ。

「リメイクされる作品、王道ばっかり。」

 ジャンプ作品、強し。

「友情、努力、勝利!」

 ジャンプの三大原則。

「部活動モノなら3つとも簡単に当てはまる。」

 野球も、けいおんも、ちはやふるも。

「でも部活動モノは絶対に卒業で終わる。」

 オチ。

「正義貫徹。」

 これ世界の普通。アメリカンヒーロー。

「努力?」

 事件を解決に向けて試行錯誤する? これも努力か?

「一人でなければ、友情は勝手に成立する。」

 なぜなら、人と人がいればケンカもするが助け合うからだ。

「結局、誰が主役であっても、事件が起こり、解決する。」

 そこの面白い設定? ギミック? ギャップ? を考えればいい。

「例えば、医者だけど手術をしない。」

「警察だけど、悪いことをしている。」

「ヤクザだけど、良い人。」

「名探偵だけど、人殺し。」

 からの。

「神父見習いだけど、人殺し。」

 良いとは思うんだけど、時代劇の必殺仕事人の現代ドラマバージョンでしかない。それでもいいのか?

「勇者だけど世界征服を企んでいる。」これ面白いな。

「魔王だけど世界の平和を祈っている。」 

 異世界ファンタジーで考えよう。

「毎回ゲストキャラクターの恨みを晴らす。」

 これだと現代ドラマも異世界ファンタジーも同じ内容でできるな。

「これが面白い設定か?」

 剣士見習いも、実は強かった。オチがあるので、まあ、爽快だな。痛快だな。

「一般大衆ウケを意識して、オチを考えている自分が嫌い。」

 文字にする前に頭の中で映像が浮かぶ自分が怖い。

「神父様は正義のミカタ。」

 ミックスしちゃった。現代ドラマと異世界ファンタジーを。

「神父様は正義のミカタ。」

 なんで両方をシンクロして考えてしまうんだろう。器用なやっちゃ。

「神父様に懺悔する。神父様は情報を得る。神父様、現場に突撃。」

 基本ベースはできた。


「主人公は高校生。」

 これ基本。

「実家が教会。」

 アルバイトで懺悔部屋で迷える子羊の悩みを聞く。

「異世界で人の困りごとを解決する。」

 毎回新しいクエスト。

「現実で悪い奴を懲らしめる。」

 毎回正義貫徹。

「これが面白い設定なのだろうか?」

 不安で悩みでもあるが、他の作品も内容は同じになってしまう。

「正義が勝たなければいけない。」

 違いは舞台設定だけだ。


「神父様ネタは現代。」

 そのうち現代ドラマコンテストがあるだろう。

「異世界は魔王ネタ。」

 異世界ファンタジーは勇者の逆視点型かな。

「神父様は名探偵?」

 普通に2時間サスペンスでありそうなタイトルだな。

「勇者が攻めてきた!?」

 まあ、仮面ライダーのショッカーのような作品にしかならないだろう。


「アニメ、漫画は主人公が高校生。」

「現代ドラマは主人公が成人。」

 まあ、役者の年齢の問題なのだろう。今日俺のようにおっさんに学ラン、おばさんにセーラー服を着せるか? あれはバラエティーだから良い。

「この時点で、現代ドラマの主人公が高校生ということはなくなる。」

 なんだろう? 現代ドラマと異世界ファンタジーの基本設定が混じりまくっているのか?


「心優しい魔王様は世界の平和を願う。」

 なろうの集英社コンの大賞もラノベ的なタイトルしかなかった。つまりそういうこと。例えると内容は純愛、病気のセカチューなんだけど、膵臓をイートとタイトルにインパクトつけないといけないのか? もう金曜ロードショーでも放送されたし、ネタばれ検索でもオチは分かるんですけどね。

「こんな普通でいいのか?」

 きっと作者の脳みそが複雑すぎるんだろう。そこら辺の一般大衆は同じ内容のタイトル違いでも感動する。それが人間なのかもしれない。だからドラえもんやアンパンマンも永遠に続く。毎週、誰かが死んでもコナンは続く。

「何でもいいんだ。売れれば正義!」

 仮面ライダーも、ガンダムも、ウルトラマンも、ラブライブもシリーズでずっと続いている。スポーツも種目のタイトルを変えて内容は同じでたくさんある。部活動も部活の種類が違うだけで内容は同じでたくさんある。ああ~もう嫌だ! アハッ!

「一層のことパクリスペクトルイージの集合体で作品を作ろうか?」

 悪に手を染めよう。ドラマや映画、アニメになる既存のプロの売り出してもらえる作品はそんなのばっかりだ。もう新しい物はないのだろう。もう新しい物はできないんだろう。

 つづく。

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