第8話 神の教示

「どうすればいいと悩むなら、全てのパターンをやってしまえばいい。」

 神様が教えてくれた。

「答えがないなら、全部やればいいと。」

 ありがとう! 神様!

「ということで、シンプルバージョンと入り乱れバージョンを考えてみよう。」

 少しづつでも前に進むことが大切であり、自分自身で少しでも前に進んでいると実感することが成長のために大切である。


「まずシンプルバージョンっと。」

 単純な主人公視点で徐々に世界が広がり人が増えていく。

「主人公は独学で剣術を行っている。」

 我流という奴だ。

「姉だとタクティクスオウガだし、妹だと鬼滅の刃だし、幼馴染だと進撃の巨人だし・・・・・・ということは!? どれを選択してもパクリ、リスペクト、他の作品と同じになる。」

 八方塞がり。

「るろうに剣心は始まりはいつも突然にだったな。」

 これも多いパターンだ。

「ほとんどが同じ出会い。出会いの形なんて、数種類しかない。だからみんな他の作品と同じになってしまう。」

 一つの結論が出た。もうオリジナルはないだろう。

「いきなり悪魔や天使が空から降って来るか?」

 それは、ああ~女神様そのまんま。

「ならヒロインをロボットにするか?」

 それも良くある話だ。例えば、アラレちゃん。

「ロボットや人形が最後人間になるってハッピーエンドか、好きな人をかばって死ぬという感じ。」

 恋愛モノを織り交ぜて。

「通常ではない設定。異形のモノか?」

 ドラゴン娘やスライム女。最近多いパターンだ。魔王が女子高生に転生して、現実世界で魔法連発で世界を支配する。

「これって、神の俺の敵でねえか?」

 不思議と自分にとっての敵の配役のイメージが決まった。

「この世に無駄なモノはない! きっと何かに繋がっている!」

 本当だ。この世に無駄なモノはない。名言が生まれた。


「ああ~ヒロインが決まらない。」

 とりあえず俺が浮気をしなければ恋がヒロイン。ということは幼馴染バージョンできまりか。

「でも、悪役の性質が分かったので、俺の職業も決まったな。相手が世界征服や世界の支配、世界の破滅をテーマにするのなら、俺は世界平和を守る者になる。」

 俺が世界平和と決まっていた時点で、対比や逆説で、そこにたどり着かなければいけなかったんだ。俺のバカ。

「なんだか結局は全ての正義の味方やヒーローと同じ目標になってしまった。」

 これも新しいオリジナルがないのだろう。他の作品と同じと否定するのではなく、もう新しい形が無いから、設定を変えただけで内容が同じになるのは必然。

「RPGモノもアイドルモノも、設定を変えただけで戦って歌を歌うのは毎回同じだし。」

 目新しくないという批判を受け入れよう。既存のヒット作もパクリの批判を受け入れて同じような内容で漫画やアニメ、ドラマになっている訳だし。

「これを受け入れるのに何年かかったんだか?」

 言えない。馬鹿馬鹿しくて言えない。最初、純粋に書いていて、いざ書いてみたら自分や他者、既存の大ヒット作など全作品。ほぼ同じ流れの繰り返しばっかりの作品だったことに気づいたり、ほぼコンテストって大手出版社の子飼いの作家ばかり大賞を受賞したり、書籍化されてる大人の事情に気づいたなんて、子供たちの夢を無くすようなことは言えない。

「知らない間が花。」

 知ってから悪意がない限り書き続けられない。手を悪に染める瞬間だ。魔王の誕生だ。または何年も何年も苦しんで悪意を受け入れなければいけないと悟った時だ。

「そうでなければ純粋に物語が書けない。」

 そうやって考えると、悪意をもって狙って書かなければ、かっこいいセリフや面白いストーリーはできないのかもしれない。

「手を真っ赤に染めるのがプロならば、そんなプロにはなりたくない!」

 悪意の逆説。まさに正義のヒーロー。狙って書くというのはこういうことだな。


「タイトルを、ゴットマンにしよう。」

 俺が神の代行者の設定だから。

「神男と書いて、ゴットマン。」

 世界戦略の一環だな。スーパーマン、スパイダーマン、バッドマンの流れだな。キャプテン・アメリカにアベンジャーズ路線。いつか共演できるだろう。

「ゴットマンは正義貫徹。」

 日本みたいな日常モノではなく、世界では正義が勝つというストーリーがウケ続けているらしい。水戸黄門を世界進出させれば空前絶後の大ヒットだろうよ。

「んん? 待てよ。」

 ということは、ゴットマンのストーリーを水戸黄門形式にすれば世界はバカ受け。おじいちゃんだと派手な戦闘シーンは無理だが、ゴットマンなら派手な戦闘シーンができるから、スーパーマンと比べても負けない。

「なんじゃらほい。」

 パクリ、リスペクト、類似を容認すると、作者はほとんど新しいことを考えずに簡単にヒット作のシナリオが転換や発想、置き換えだけでできてしまう。楽な商売だ。

「罪悪感はない。」

 ドラえもんやアンパンマンも毎回同じことの繰り返しだが罪悪感はないだろう。だってお金のために大人はやっているだけだもの。否定するならギャラゼロでやり続けてもらおうか? という話になる。

「確かに外国の作品をパクるって、最近のドラマや映画で多いな。」

 どちらかというと韓国ドラマかな。日本のドラマや映画は韓国ドラマそのまんま。若しくは少しだけ変えて作品化、大賞。

「これで良心が痛むと物語なんて書けない。」

 ということはプロの既存の作品を作っている人は悪人ばかりか。かなしいね。でもそう思うことで、自分も悪人なんだなと思うことでパクリ、リスペクト、類似問題を乗り越えて、同じような作品が書けるというものだ。

「まあ、なんも考えない人は考えなくてもパクリ作品を書けるのでしょうけどよ。」

 作家さん。売れたら勝ちみたいな人ばかり。アイドルに手を出して、離婚して、略奪婚か? で他のアイドルにも手を出してが出てくる。そんな人間じゃないと三国志をパクって書けない。

「それを否定するとなんも書けない。」

 そうなると異世界ファンタジーも1作品だけしか世の中にあってはいけなくなる。

「はあ・・・・・・。」

 ため息がこぼれる。人間は魂を売ったもん勝ちだなんて。


「ゴットマン。」

 話の流れ的には、ドラえもんやアンパンマンの15分アニメ。洋画ドラマのスーパーマンやバットマンの30分ドラマ。何ならウルトラマン、仮面ライダー、戦隊ヒーローの30分作品。

「全部毎回同じストーリー。」

 正義のヒーローが悪を倒す。おまけに追加すれば水戸黄門、大岡越前、遠山の金さん、ドクターXなどの1話完結モノの60分ドラマ。

「ちょっとゲストのショートストーリーが毎回違うだけ。」

 こうなってくると何を考える必要があるんだ? になってしまう。ショートストーリーも、そのタイトルでは1回しか使えないが、他の作品のショートストーリーをパクって使用することができる。そうしてワンクール全話12話として、他の作品のショートストーリーを12話分持ってくれば何も考える必要はない。それで現在放送中のアニメやドラマ、上映中の映画はできている。

「だってオリジナリティーがないもの。」

 子供が最初に見た作品は素晴らしい。でも歳を取ってタイトルは違うが2回3回と同じ内容の作品を見てしまうと、見事にパクリにしか見えない。だから飽きるし、面白くない。

「ユーチューブに負けるテレビ。」

 素人が面白いオリジナル動画を次々あげるユーチューブと、パクリ作家しかいないテレビとの差だろう。視聴率は下がり続けるしかない。毎回同じ展開の作品であっても王道というか、見れるレベルの作品が少ないのもテレビで放送される既存のアニメ、ドラマ、映画の既存作品が面白くない原因である。

「はあ・・・・・・はあ・・・・・・はあ・・・・・・。これだけ毒を吐き出せば、純粋に物語が書けるだろう。」

 作家をしているのに、パクリ問題に心を痛める人間を描いた物語だな。非常に儚くて切ない物書きのストーリー。

「ありがとう。」

 多くの人々と出会い、励まして支えてもらいながら、最高の作品を書き上げる。そしてコンテストで大賞を受賞して、今までの苦悩や努力が報われる。

「本当に良いあらすじだ。」

 これで10万字を書き上げたら本当に芥川賞とかが取れそうだ。

 アハッ。

「ただ世界の中心で愛を叫ぶとかの病気ものとかも9割見ていて退屈でCMで使うような1割シーンしか盛り上がりはない。」

 人はそれをつまらないという。テレビで宣伝している時だけ話題だから、他の人が見ているからとかの仲間外れになりたくない人間の感情で観客動員数が増えたり、視聴率が増えるだけ。終わったり落ち目になったら誰も見ない。誰も話題にしない。過去の作品に成り下がるのだ。

「営業や作品の広告宣伝費のかけ方や売り出し方の問題である。」

 まあ、お金があるかないかの大人の事情でしかない。


「控え! 控え! このお方をどなたと心得る! 先の副将軍! 水戸光圀公であるぞ! 頭が高い! 控え! 控え!」

「これにて一件落着。」

「黙れ! 悪党ども! この金さんの桜吹雪! 散らせるもんなら散らせてもらおうか! よく見やがれ!」

「じっちゃんの名にかけて!」

「俺は海賊王になる!」

「真実はいつも一つ!」

「私、失敗しないので。」

「倍返しだ!」

 これがレベルが高い? 成功した決めゼリフである。どちらかというと長いセリフより短くて覚えやすくテレビの尺でも使いやすいものが多い。

「見せ方と演出。」

 同じようなセリフはいくらでもある。なぜ成功したのか? 毎回同じセリフを言い続けることによる読者、視聴者への刷り込み。そこだけテレビで繰り返し宣伝。

「倍返しは知っていても、見ていない人には半沢直樹が何の話か分からない人が多い。また見たがやめた人は倍返しは面白そうだけど、経済物語で難しくて分からない。歌舞伎役者ばかりで顔芸しか面白くない。」

 実際は内容は面白くないという人が多いのが真実だ。

「神の代行者! 碧が命じる!」

「私が神だ。」

「神の裁きを受けろ!」

 こんな所が決めゼリフか? ほぼカードキャプターさくらを連想させるだろう。カワイイではあったが、日常モノで中身はなかった様な気がする。でも魔法モノや召喚ものの魔法の詠唱など作品のタイトルは違えど内容は同じ。

「見た目は子供! 頭脳は大人! 名探偵コナン!」

 ノリはこれと変わらない。気にするのはやめよう。既存のアニメやドラマはみんな同じような作品ばかりだもの。同じでもOKなのだろう。


「悪意に手を染めたな。」

 純粋な人がどんどん黒く汚れていく様子。

「そして悪魔を呼び寄せ、悪魔と契約する。」

 これ毎回のショートストーリーに仕えるな。

「人間の弱い心に悪魔が忍び寄って来る。」

 それを神男が倒す。

「ゲストの人間が苦しむ毎回のショートストーリー20分。正体が悪魔で毎回の戦闘シーン5分。」

 なんでこんだけグチグチやってて作品のイメージが降りてくるのか? 不思議だ。

「あなたが悪い訳じゃない。」

 神は迷える子羊に救いの手を差し伸べる。

「ありがとうございます。」

 涙を流す人間。きっと悪いことをしてしまったのなら、悪魔を神男が倒し、良心がよみがえった人間は自首するだろう。

「おまえ、悪魔だな?」

 毎話使える神男のフレーズが浮かんでくる。これを1話のストーリーに当てはめて製作すると普通に1話分ができる。今回、お得なのは第1話ができているということ。同じことの繰り返しは第2話からか。


「神の代行者! 碧が命じる!」

「私が神だ。」それとも「俺が神だ。」

「神の裁きを受けろ!」

「悪意に手を染めたな。」

「そして悪魔を呼び寄せ、悪魔と契約する。」

「人間の弱い心に悪魔が忍び寄って来る。」

「あなたが悪い訳じゃない。」

「ありがとうございます。」

「おまえ、悪魔だな?」

 セリフから始める作品作り。

「この順番を置き換えるとだいたい1話の流れが決まって来る。」

 20分のショートストーリーも長いものはダメ。尺なんて直ぐに終わってしまうんだな。

「う~ん。上記のセリフって15分から20分のセリフだな。」

 ということは0から15分と20分から25分の内容が、まだ決まっていない。

「先は長いね。」

 すんなり話を書いてしまえば苦しまなくて書けるんだろうけどね。

「少しずつ進めないと面白くない。」

 例えばSAO。商業的には良いのだろうが、間延びした話やロボットが出てこられても、もう既に初期の話と違い過ぎてどうでも良い盛り上がらない作品になっている。ドラゴンボールもフリーザを倒してきれいに終わった方がいいというやつだ。

 つづく。

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