夏の毒
荼八
夏の毒
ふと全身の力が抜け、私はアスファルトに倒れ込んだ。直ぐにでも起き上がらなければ、なんて悠長なことを考えているうちに呼吸が荒くなるのが解る。瞼が重くなりやがて目を瞑ってしまった。周りからは駆け寄る足音やら黄色い声がした。
私は夏色の毒に当てられてしまったようだ。それは百合に似た毒で場合によっては死に至る。真白な花弁から香るあの優しい匂いを持つ花でさえも、自身を守る為に毒を持つ。一方で漢方としての一面もあり、その効能は解熱やら利尿作用やらがある。なんにしても、人間の体内でその様なことは実際出来てしまうことで、其れを補助するのが薬の役目。現状、もう1寸も体が動かない私からしたら、何でも過度に摂取してはいけないと云うことを皆さんにも解っていてほしい。それでは私はこのまま頬が焼けてゆく痛みにすら気づかない儘に眠ることにします。というよりは、もう起き上がることも出来ないかもしれません。其れならば挨拶は1つしかありませんね。
おやすみなさい。
夏の毒 荼八 @toya_jugo
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます