日記みたいな小話。

しゅら犬

過去を思う


 僕は良く分かってなかったし、多分親も分かっていなかったのだろう。

 幼少の頃は行動範囲が狭く、どうやっても家の知識が主体となる。それは仕方がない事であり、子どもにはどうにも出来ない事である。だからそれは仕方がない。しかしながら、それは子供立場だからである。大人となれば、行動範囲は広くなり、出来る事は増える。だから僕は親の言っている事は真実なのだと思っていた。

 けれどもそれは間違いだった。あまりにも大人とは自らの意志で進まないとなれないのだ。己の足を使い、自らの意志でほしい知識と環境を手に入れなければいけないのだ。

 だからこそ、僕は間違えた。

 子供の僕ですらできる事を何故、大人の親ができないのだろう――と疑問に思いつつも、時間はまだあるからと言葉で解決しようとしていた。人間である以上は暴力で解決するのはよろしくないし、相手は大人である。ならばやはり理性的に言葉を積み上げればいいのだろうと。

 しかしながら、それも中身が幼いのでは意味をなさない。小学生の知識すら難しいと言われ、ただただ癇癪を起し、奇声を上げながら回るような人間には理性的な言葉は意味をなさないのだ。

 必要だったのは、言葉でなく病院であり、薬であり、診断だった。

 無駄だった。さっさと切り捨てるべきだったのだ。少なくともそうであれば、今のような苦労は背負わなかっただろう。

 けれども田舎の人間も同じような人間が集まっている以上、どこかで同じような事に陥っていた可能性は高いのだろう。環境の面が大きい。

 だとすれば僕は前世で何かしたのかもしれない。

 まぁでもそれは神にしか分からない。

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