第372話 :七不思議と、ついでにキーホルダー探し

忍者部の部室に2つの依頼が届いたその日の夜。


シン(全員、ちゃんと来ているか?オーバー)

シゲ(あ、今回もそのノリなんだ。オーバー)


アカ(今回も、って・・・前回がいつだったのか知りたいわね)

ノブ(はっはっは!そりゃぁ、キャンプの覗きのときだ!オーバー!!)


ケン(ゴリラ、うるさい。ソウの『通信』使ってるから、もう少しボリューム下げろ。オーバー)

ユウ(あ、えぇっと・・・オ、オーバー)


ツネ(恥ずかしがんなよユウ!そして茜!ユウを見習ってちゃんと『オーバー』って言えよ!オーバー!)

ブル(ねぇパパ、ノゾキってなに?)


ソウ(あー、ブルーメ。それはいったん置いてここうね)

アカ(あんた達、キャンプの覗きのとき、こんなテンションだったのね)


男子一同(ゴメンナサイっ!)


プレ(もう、頭の中がパニックだぞ、オーバー)



学校へと忍び込んだ一同は、聡太の『通信』を使ってわちゃわちゃと話し込んでいた。


プレッソの言うとおり、軽くパニックである。


シン(それにしても・・・なんか、先生達多くないか?オーバー)


ひとまず社会科研究部の部室へと入った一同にシンが声をかけた。


この場所まで来るまでに、一同は何度も教師たちと鉢合わせしそうになったのである。


しかも何故か、学校中の明かりは一切灯されることなく、教師たちは皆、懐中電灯で何かを探しているようなのであった。


ソウ(先生達も、何か探してるみたいだったね。オーバー)

シゲ(確かに。もしかして、先生達も肝試しだったりして?オーバー)


アカ(まさか。でも、気になるわね)

ノブ(はっはっは!確かに気になるな!オーバー)


ケン(だからうるせぇってゴリラ。それでシン、どうするんだ?オーバー)

シン(ここまで来て帰れねぇだろ。ここから、いくつかのグループに別れて肝試し・・・じゃなくて、クソリア充のキーホルダーを探すぞオーバー)


ツネ(もう肝試しって言っちゃったよ!オーバー)

アカ(その後につっこまないのは、あんたツネもシンさん側の人間ってことね)


ツネ(なっ、茜!そこつっこむんじゃねぇよ!オーバー)

ブル(ツネ、痛いとこ突かれて焦ってる〜。オーバー)


ソウ(ブルーメ、そういう事は、言ってあげないことが優しさなんだよ?オーバー)

ツネ(その優しさが逆に辛い!オーバー)


シゲ(ねぇ、脱線してないで早く肝試しやろうよ。オーバー)


一同(シゲにだけは言われたくなかった!!)


プレ(こいつら、大丈夫か?オーバー)


頭に響くわちゃわちゃした声に、プレッソは呆れた様子でため息をついた。


ちなみにチーノとロイは、『面倒だから』という理由で、今回は自宅待機中である。


シン(ま、とりあえずシゲにもつっこまれたし本題にはいるぞ)

シンはそう一同に声をかけた。


シン(今回の目的は2つ。1つはアホらしいキーホルダーを探すこと。まぁ、こっちは見つからなくても問題は―――)


アカ(部長?)


シン(もちろん、問題大ありだ。忍者部として、みんなしっかりと探してくれ。

そしてもう1つが、この学校の七不思議の解明だ。

みんな、その話は知ってるのか?)


ソウ(いくつかは聞いたことありますけど・・・・)


シン(じゃぁまずは、そっちの整理をするぞ。みんな、どんな話を聞いたことがある?)


シンがそう言うと、皆が思い思いに聞いたことのある七不思議を話し始めた。



シン(よし、これで全部だな)


そして集まった七不思議が・・・


1.上りと下りで段数の変わる階段

2.時折動く、保健室の人体模型

3.陸上部部室で唸る猛獣の声

4.音楽室でひとりでに鳴るピアノ

5.図書室ですすり泣く声

6.少女の名を呼び続ける気味の悪い声

7.社会科準備室ですすり泣く声



ツネ(声の聞える率高ぇなおい。すすり泣く声なんて2度出てきてるし)

アカ(ネタが無いのかしら)


ソウ(茜、それ多分、言っちゃいけないやつだよ)

シゲ(階段って、どこの階段なんだろうね)


ケン(階段は、色んな所に噂はある。けど、どこも理由は同じ)

ユウ(あ、上りと下りで数え間違ってるってやつですね)


ツネ(いや既に1つ解決しちゃったよ!)

シゲ(え?どういうこと?いくらなんでも、数え間違ったりしないでしょ)


ソウ(え?シゲ、それ本気で言ってるの?)

シン(あー、とりあえずバカシゲは放っておいて。8人いるから、2人ずつペアを組んで行くぞ。

1つ目は解決したからいいとして―――)


シゲ(え?なんで解決したことになっちゃってるの!?)

シン(ソウ、シゲと組んで、説明しといてくれ)


ソウ(はぁ〜。りょーかいです)

シン(あとは・・・ノブとケン、ツネとアカ、ユウは俺と、それぞれの怪談を確認だ)


シンの言葉に、ユウはモジモジしながら、チラリと恒久へと目を向けた。


アカ(あ、私シンさんと行きます!油断したら、キーホルダー見つけても知らんぷりしそうだし。ユウちゃん、ごめんだけどツネと行って)

茜はそう言うと、ユウへと小さくウインクした。


(茜先輩・・・ありがとうございます)

ユウは聡太の『通信』を介さず、心の中で呟いて茜に小さく頭を下げた。


シン(俺どんだけ信用ねぇんだよ。まぁいい。とりあえずみんな、先生達に注意しつつ、頼んだぞ。

あぁ、キーホルダーも一応忘れるなよ)

アカ(一応じゃなくて、そっちの方が大事なんだからね!?)


一同(へぇ〜い)


こうして忍者部の、肝試し兼キーホルダー探しが始まったのである。

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