外伝〜始祖の物語〜
プロローグ:雑賀平八のもう1つの本
「まさか、卒業式の日に来るとはな」
電話で近藤達の襲撃の報告を受けたノリは、報告してきたシンに礼を言って電話を切り、呟いた。
近藤達が、自分が居ないことを知って来たのか、それとも偶然か。
それすらも分からないノリは、頭を掻いた。
(あいつらの言っていた白ローブ。何度か襲われた重清達も見たことのない人物。
そいつが、俺の不在を知っていた?まさか、2中に潜んでいるのか?
・・・・ありえねーな。俺が気付かない訳ないし、仮に俺の目を潜り抜けたとしても、雅様にさえ気付かれないなんてことはあり得ない。
しかし、これまであんな奴らの話、聞いたことすらなかったぞ。
いくら調べても、過去に何かをしでかした形跡すら無い。
最近作られた組織なのか。それとも・・・・)
1人考え込んでいたノリは、仕舞っていた1冊の本を取り出した。
「ま、情報が少なすぎるんだ。いくら考えてもどうしようもねーか。
いざとなったら、俺が出張れば済む話だ」
そう独り言を言ったノリはトウから譲り受けた本を取り出し、
「平八様の、もう1つの本、か」
そう呟いて、『始祖の物語』と題された本を開いた。
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