第318話:1年生 対 甲賀ショウ(猫) その2

雷纏らいてんの術っ!」

雷速らいそくの術っ!」

飛翔ひしょうの術っ!」


ショウを離れた位置から囲んでいた重清、恒久、聡太がそれぞれ術を発動している間に、アカは単身でショウへとつっこんでいた。


「あのバカっ!1人で突っ込みやがって!」

恒久はそう言うと、雷速の術によるスピードを生かしてショウへと迫った。


アカより先にショウのもとに辿り着いた恒久は、手裏剣を投げつけてショウへと殴りかかった。


ショウは自身に迫る手裏剣を、空中に浮かんでいたじょうで払い落としながら恒久の拳を避け、その横腹を蹴りつけた。


「ぐっ」

「きゃぁっ!」


そのままアカの方へと飛ばされた恒久の体が、アカとぶつかり2人はそのまま押し倒された。


「「アカ!ツネ!!」」


一歩遅れてやって来た重清とソウが、声を揃えた。


2人はそのまま、ショウへと攻撃を開始した。


「いっけぇっ!!弾丸だんがんの術っ!!」

重清がそう叫びながら金弾と雷弾をショウへと撃った。


それと同時にソウは空中で、木砲もくほうの術をレーダーの『迫撃』に、火砲かほうの術を『追撃』にセットし、火砲の術をショウへと放った。


ショウは向かって来る弾丸と火砲を、それぞれ空中を舞うように浮かぶ杖を回転させて弾きながら、残る2本を重清とソウへと向けて飛ばした。


「「やばっ!」」


重清とソウはそう言って咄嗟に杖を避けた。


「油断しちゃだめだよー」

「うそっ!?」


杖を避けた先にいるショウの姿に驚きの声を漏らした重清は、構えることもできずにショウの蹴りをその身に受ける。


「シゲっ!!」

ショウに吹き飛ばされる重清に目を向けながらソウが叫んでいると、


「浮かんでても、油断はダメー」

ソウの元まで飛び上がったショウが、そう言って猫パンチを繰り出した。


「くっ!!」


ソウはショウの肉球を防ぎながらも、その勢いに負けて吹き飛ばされ、空中で体勢を整えて着地した。


ソウは、着地点にいた重清達に目を向けた。


「「「「ショウさん強すぎっ!!」」」」


4人が声を揃えた。


「しかも、きっちり全員を同じトコに飛ばす芸当付きだな」

恒久はそう言って、ちょうど地へと着地していたショウへと目を向けた。


ショウが向かって来ることなく、その場で猫の如く顔を洗っているのを見たソウは、


「みんな、これ力を出し惜しみしてる場合じゃないみたいだよ」

そう重清達へと声をかけた。


「・・・・だな。まさかあの術があそこまで強いなんてな。シゲ、お前のせいだぞ?」

「え、おれ?最終的に術を作ったのはソウじゃん!」

「ぼくのせいにしないでよ!」


「あんた達、言い争ってる場合じゃないでしょ?

ショウさんを見てみなさい!多分あれ、私達を待ってくれているわよ?」

そう言うアカの視線を重清たちが追ってみると、ショウは1人、自身に生えた尻尾と戯れていた。


「か、可愛い・・・・じゃなくて!ほら!最後までショウさんにボロ負けでいいの!?」

ショウに見惚れる自身に活を入れながら、アカは重清達に視線を戻した。


「・・・だね」

アカの言葉に重清が頷き返すと、ソウと恒久も真剣な眼差しで頷いていた。


「チーノ、ロイ!悪い!助けてっ!」


そう言うと重清は、チーノとロイを自身の元へと具現化した。


「あら、やっぱり出番、来ちゃったわね」

「ふむ。まぁ頑張った方じゃろう」


チーノとロイは、そう言いながら重清に笑いかけていた。


「2人とも、ショウさんがあの術で強くなったの、知ってたの!?」

重清が2人にそう言うと、


「えぇ。ショウはあの術で、体の力が格段に上がっているわ」

「ふむ。体の力だけで言えば、その辺の大人よりも強くなっておるわ」


「マジかよ・・・・」

チーノとロイの言葉に、恒久は声を漏らした。


「こりゃソウの言うとおり、持ってる力は全部出さなきゃヤバそうだ」

続けて言う恒久の言葉に各々は頷いた。


(飛翔の術っ!)

ソウはその場で飛び上がると、


「みんな、相手は大魔王雅さんだと思って全力でいくよ!!」

そう叫んで上空へと舞い上がっていった。


「「「りょーかいっ!!」」」


重清、アカ、恒久はそう言って、構えた。


「大魔王は言い過ぎだよー」

ショウがソウの言葉に笑っていると、


「全力、火鎧の術っ!!本物の大魔王の弟子の本気、ショウさんにぶつけますっ!!」

アカはそう言って、先程よりも大きな炎を身に纏った。


「こっちだっていくぞっ!!幻獣の術っ!!」

恒久はそう言って、伊賀家忍術、幻獣の術で麒麟をその場に作り上げた。


伊賀宗久のものよりも更にひと回り小さく、何故か可愛くデフォルメされた麒麟が、その場に佇んでいた。


「おぉ、あれが麒麟かぁ。なんか、可愛いね」

麒麟の姿に重清がそう呟いていると、


(おい重清、そんな余裕あんのかよ?)

マキネッタプレッソからそんな声が聞こえてきた。


「あ、また脱線しちゃった。よーし、チーノ、ロイ!いくぞっ!獣装じゅうそうの術だっ!!」


重清がそう叫ぶと、チーノとロイの姿が光へと変わり、重清の体へと集まっていった。

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