第51話:主人公っぽい登場

まえがき

私のミスで、第44話の後半部分が掲載できておりませんでした。

そのため、第44話と第45話のつながりがおかしなことになっておりました。

誠に申し訳ございませんでした。

現在、第44話後半に欠落部分を追加いたしました。




----以下、本編----


「あぁもう!2対1なんて卑怯ですよっ!」

重清が、自身に飛んでくる水砲の術を避けながら叫ぶ。

「オイラがいるだろ!ちゃんと2対2だよっ!」

重清の言葉に、プレッソが怒鳴りながら飛んでくる手裏剣を爪で弾いていた。


ソウの読み通り、ショウと恒久は重清とプレッソを追っており、今まさに遭遇したのであった。


「重清っ!誰か近づいて来てるぞ!?」

「敵か、味方か!?」

「わからねぇ!まぁ、敵っつっても、同じ忍者部だから、味方みたいなもん・・うわっ!」

プレッソが話していると、恒久の幻刀の術がプレッソを襲う。


辛うじてそれを避けるプレッソを見て、恒久が口を開く。

「まったく、お前らはこんな時まで脱線かよっ!」


「脱線上等だっ!あー!ソウがいたら、近づいて来てるのが敵か味方か解るのに!」

「呼んだ?」

重清の叫びに、ソウがショウの水砲の術を花の種で撃ち落としながら現れる。


「おぉ、ソウ!お前マジ、主人公みたいな現れ方してくれるなぁ!」

重清が笑顔をソウに向けて言う。


「はいはいどうも。シゲ、大丈夫?」

「あぁ、なんとか。プレッソも無事だよ。」

「いやっ、無事だけどっ!話してる余裕あるなら助けろよっ!!」


そう叫びながら恒久の手裏剣を空中で避け、地面へと着地するプレッソ。

しかしそこに、恒久の土穴の術が発動され、プレッソは思いっきり穴の中に落ち、そこに恒久の追撃が迫る。


「プレッソ!」

シゲはすぐさま、プレッソを自身の元へと召喚してプレッソを救い出す。


「あっぶねぇーー!重清、助かった!無駄口聞いてたのはチャラにしてやるよ!」

「ありがとさんっ!よし、これでほんとに2対2だ!」

「だからおれを数に入れろよ!」

「いやだって、お前はおれの最大の攻撃のキーなんだぞ?ってことで、鉄玉よろしく!」


「あーもう!わかったけど、お前さっさと、ショウが言ってた別の攻撃方法考えとけよな!」

そう言いながらプレッソは、鉄玉の術を発動し、重清の手元へと飛んでいく。


「よしっ!これで準備万端!」

「シゲ、忘れないうちにちょっと耳貸して。」

ソウの突然の言葉にを疑問に思いながらも、言われたとおりソウへと耳を向ける。

「・・・・・・」

「ソウ、それマジか!?」

重清の言葉に、ソウは頷いて話題を変える。


「それでシゲ、別の攻撃方法って考えてるの?」

ソウがショウと恒久に気を配りながらも聞いてくる。


「んー、『〇〇波』的な何かができないかなぁーとは考えてるんだけど・・・」

「はぁ。」

ソウが呆れた顔でシゲに目を向ける。


「え!?なんで!?『波ーーっ!』って出来たらかっこいいじゃん!」

「まったく。って、来たよ!シゲはツネをお願い!」

「いいけど、お前ショウさん相手に大丈夫か!?」

「大丈夫じゃないけど、試したいことがあるんだ!」

「りょーかいっ!」

そう言って2人は、それぞれの相手に向かって構える。



「まったく、きみたちの学年は脱線がひどいね。」

苦笑いしながら、ショウがソウに対して構える。

「で、何か試したいみたいだけど、付き合おうか?」

「そう言ってもらえると助かります!」

「まぁ、ぼくの考えの検証にもなりそうだしね。水砲の術でいいんでしょ?」

「!?さすがショウさん。お願いします!」


ソウの言葉を受け、ショウはソウに向かって水砲を発射する。

それに対してソウは、花の種を水砲に向けて発射する。


2つが空中でぶつかり合う。

その時、花の種が水砲を取り込み、拳台のサイズの木の塊になってそのままショウへと飛んでいく。

ショウはそれを、こともなげに杖で叩き落とす。


「やっぱり。『水生木』。」

「へぇ、そんな言葉があるんだ。」

「え!?ショウさん、知ってたわけじゃないんですか!?」

「ん??知らないよ?僕はただ、これまでの経験から、属性の相性を推察しただけだからね。ソウは違うの?」

「もう、どれだけ天才なんですか!ぼくは、何かの漫画で、五行説のことを見たことがあったんです!」

「あ、そっか。それを元にしてるんだったら、調べてみればよかったよ。ここまでくるのに、2年もかかっちゃったよ。」

笑いながらそう言うショウに、どこか抜けていると感じたソウは、笑いながら、

「2年を無駄にしちゃってすみません。」

と軽口を叩く。


「あ、今のちょっとムカついたー。よし、じゃぁもう一回、同じの行くよ!」

そう言ってショウが、再び水砲をソウに向かって放つ。

そのショウの行動に不思議に思いながらも、ソウは再び花の種でそれに応戦する。


2つが再び衝突する。

しかし今度は、花の種は水砲を取り込むことはなく、逆に水砲によって打ち砕かれ、そのまま霧散する。

花の種を霧散させた水砲は、そのまま勢いを殺されることなくソウに迫る。


「くっ!」

ソウは何とかそれを避けて、ショウに向き直ると、

「驚いた??」

ショウがにやりと笑っていた。


「ふっふっふ~、いくら相性があっても、相手の方が力が上だった場合は、必ずしも相性のとおりには行かないみたいだね。やっぱり、こういうのは試してみないとわからないね。『百考は一行に如かず』ってやつだ。」

「え、わかってたわけではないんですか!?」

「予想はしてたけど、確証はなかったんだ。だから、良い実験になったよ。」


(うわぁ~、ダメだ。なんていうか、この人には勝てる気がしない。)

ソウは瞬時に、そう思ってしまう。


(でも、諦めるわけにもいかない、か。)

「ショウさん、ありがとうございました。いろいろと勉強になりました。ひとまず、属性の相性に関しては、後程ゆっくりと話したいのですが・・・」


「そうだね、あとは、この勝負に集中しようか。ちなみに、僕は今回リーダーだよ。僕を倒せば5点。ってことで、ファイト!」


その言葉に、少しイラっとしながらソウは、ショウに対して木砲の術を再度繰り出すのであった。

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