第19話 地元の英雄グレン

「おい!そんな早く歩くなよ!こっちは寝てないんだよ!」



そんな事を言うグレンをライラは冷たく見る。



「うるさいです。ゴミ虫」



何となく思っていたけどライラって俺に関することになるとおかしくなるよな、こんな狂信的じゃなかったら可愛いのに。




ライラがへ?と言って顔を赤らめた。声に出てたらしい。その後のライラはグレンをゴミ虫と呼ぶのをやめた。




さてとそろそろ街に行こう。いつまでもこんなところにいるわけにはいかない。ところでここはどこだ?グレンに聞いてみる。




「ここはロータリギアだろ?お前らここがどこかわかって居なかったのか?どうやってここに来た?」



などといくつも質問責めを喰らうか無視する。これ以上騒いだらこいつを盗賊として衛兵に突き出してやる。



「ここはロータリギアという国、なるほどそれで?今から行く街は何だ?」



グレンは無視されたことに少し腹を立てた様な顔をして答える。



「アーケミナって街だよ。魔法研究の研究所が多くある。ロータリギアでも3〜4番目に大きな街さ!俺の生まれ故郷でもある!」



最後の一つはくそどうでもいいが魔術研究かあんまり関係無さそうだな。




そう言えばアスタルテは何を調べてこいとか言わなかったな適当に世界の情勢を調べればいいのか?


何を調べて欲しいかくらい答えとけよ!と思いながら遠くを見ると街が見えてきた。



城壁で中が見えないがかなり大きい。



「おい、そう言えば俺達身分保障するもの持って無いんだけど大丈夫か?」



「?ああ、大丈夫だDランカーの俺がいるし顔は通っている。お前らも顔パス出来るだろうよ。隣の国のガリエナ王国でもあるまいし気にすんなって」



Dランク?雑魚じゃないか?下がどれだけあるか知らんがそいつの顔が通ってるって何だ?



「おいDランクって下からどの辺だ?」



冒険者にはなるつもりだなのである程度情報は仕入れたい。



「あーえーとな?一応下からだと6番目だな。まぁ俺はDランクだからダイヤモンド級の奴らには負けるだろうが扱いとしてはダイヤモンドより上だ」



いまいちよくわからない。詳しいことは冒険者ギルドで聞くことにしよう。



門の前に来ると兵士がグレンに敬礼する。



「グレンさん!昨日は帰ってこないから心配しました!何かあったのですか?ってその人達は?」




兵士が俺達を怪訝そうに見てくるがグレンが紹介してくれたおかげで納得した様だ。



グレンが俺たちを悪い様に言ったら消炭にするところだったぜ!まぁ俺にはできないけど



「そうだ!こいつら身分証無いんだけど入って大丈夫かな?今から冒険者になるつもりっぽいからそこまで連れて行くが」



兵士はかしこまりながらこう言った。




「地元の英雄クラン様の頼みです!問題なんてありませんよ!」



地元の英雄?こいつが?俺が転んでライラを押し倒したのを襲ってるって勘違いして攻撃してきたこいつが?



俺たちはグレンの扱いに納得できないまま冒険者ギルドに来てしまった。




「冒険者ギルドへようこそ依頼はあちらのボードをご覧ください。報告は向こうのカウンターへどうぞ新規登録の ってグレン様!どうしたんですか?」




受付嬢はマニュアルのセリフをそのまま棒読みで言っている途中でグレンに気づきセリフを途中で切った。



受付嬢への対応はめんどくさいので全部グレンに任せることにした。




「あぁこいつらの登録を頼みたいんだか。ああ、お前ら登録するための金あるか?」



俺たちに聞いてきたがある訳ない



「ありませんよ?そんなこともわからないんですか?」



ライラは相変わらずグレンに冷たく当たる。



「そんなものある訳ないだろ貸してくれ」




俺も雑に頼む。すると受付嬢が喚き始めた。




「何なんですか!あなた達!街の英雄のグレン様にそんな言葉遣いするなんて!立場を弁えなさい!話しかけられるだけでありがたいんですよ!それを何ですか!」




こいつうるさいな仕事に私情を挟み込んでくるなよ。




「いやぁすまんな!こいつらは俺が迷惑を掛けちまってよ。だからあんまり怒らないでくれ」




とフォローを入れてくれた。


いい仕事するじゃないかグレン。このままだと爆破属性付与させた件で冒険者ギルドを灰にするところだったぞ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る