第2話
目が覚めると、見たことも感じたことも
無い空間に包まれていた。
「あ、起きた」
声のする方に目を向けると僕が生前見た
柔らかな雲のような女性がそこにいた。
「気分はどう?」
「まぁまぁ、」
「同い年の人がこっちの世界に来るって
聞いたから見に来たの」
「こっちの世界?」
一瞬、戸惑った。
「あー、やっぱり。私も最初そうだった。
…ここはね、いわゆる天国。
死因はなんであれ、必ずここを通る。」
「そう、なんだ、」
「とりあえず私といなよ。
ここでのこと教えてあげるよ」
「ありがとう」
「名前は?」
「白亜。白亜紀と同じ字」
「綺麗な名前。
…あ、私は一華。花一華ってアネモネの和名なんだけどその字。読み方は“いちか”ね」
「そっか、よろしく。
あの、これからどうすればいいのかな」
「自由だよ。いつどこで何をしても誰も
口出ししない。最高だよこの世界は。」
彼女はこっちの世界での在り方を
教えてくれた。年齢関係なしに皆平等であること。基本1人で自立して生活を営むこと。
他人同士が触れあってしまうと
ここでの存在もなくなってしまうこと。
「なんで触れると消えてしまうのかは私も
よくわかんない。…死んだあとくらい愛に触れてみたかったなぁ。…あ、なんでもない!」
口ではそう言うがどこか淋しそうな
彼女の表情に感傷してしまった。
そのあとも彼女は沢山言葉を
僕にぶつけてきた。
誰かと話したかったと言わんばかりに。
けれど彼女自身については
多くを語らなかった。
もっと知りたい。
そう思ったが開きかけた口をつむった。
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