あたしとそっくりな神様?!
・リマが発見されてからフロイデは行方をくらませたため、目的を達成した神様見習い三柱は天界に帰らねばならない。だが次に憂の視察を天から託された三柱はこのまま地上に残ることになる。つまりまだ恵実たちと一緒に過ごせるのだ。
・天の声はリマと恵実の関係が他人の空似であり、この偶然の因果は双方に特別な力を生じさせると告げた。恵実が神様見習いやフロイデといった『人ならざるモノ』の姿を認識できるのもこの力のおかげだ。恵実はここまで関わった以上神様見習いに協力することを決意する。
・恵実とリマの顔は瓜二つ。これを利用してリマは恵実にとある計画を持ちかける。
リマ「アタシが恵実の代わりに嫌なことをこなしてあげる!どう?恵実は毎日ハッピーに過ごせるのよ!」
恵実「やったー!さすが喜びの神様見習い!」
リマ「ふふん、もっと褒めて頂戴。セキやシャルと違ってアタシは優秀なのよ!」
・神様見習いの身体は一時的に可視化することができる。リマはウィッグを被り、恵実の苦手な算数の授業に出席する。
恵実「誰にもバレなかった?」
リマ「もちろん!授業中先生に当てられちゃったけど、大きな声でわかりませんと答えたわ!」
恵実「あははっリマらしいね!」
・恵実は嫌な授業を受けずにすむ。リマはどんな授業も楽しむ。恵実とリマはお互いに満足していた。それをいいことにリマが恵実に成り代わる時間は延びていく。
リマ「今日は体育の授業があったわ!十段のとび箱に成功したのよ!」
恵実「じゅ十段?!あたしそんなに高く跳べないよ…!」
リマ「なら次の授業もアタシが出るわ」
恵実「あたしたちの身長は全然違うよ。あんまり目立つと気づかれちゃう」
リマ「安心して!『恵実』は背が伸びたってことでみんな納得してるから」
・次の日、体育館に向かうリマの行く手をシャルが阻む。
リマ「とび箱は高く跳べる方がカッコいいじゃない!恵実もきっと喜んでくれるわ!」
シャル「もう止めましょうよ。このままだと恵実ちゃんが『恵実ちゃん』じゃなくなっちゃいますぅ!」
・シャルの意図がリマには伝わらない。もどかしさからシャルは泣き出してしまう。その涙に触れたリマにシャルの魔法が発動する。
リマ「何よこれ…うぅ、涙が止まらないわ!これじゃあ授業に出れないじゃない…!」
・舞台は体育館へと移る。恵実はそびえ立つとび箱と向き合っていた。段数は十段、九十センチの高さに及ぶ。クラスメイトはいつ恵実が走り出すのかと期待のまなざしを送っていた。
・意を決して地面を蹴る恵実。高鳴る心臓。接近するとび箱。踏切板の感触。全力で跳躍したあげくバランスを崩し、恵実はとび箱の側面に頭から衝突した。
セキ「無事かァ恵実?!」
恵実「いてて…なんとか」
セキ「テメェなあ!ムリする必要なんてなかっただろォ?!」
恵実「みんなにわかってほしかったんだ。とび箱は五段までしか跳べない、それが本当のあたしなんだって」
・恵実は保健室へと連れられる。道中保健委員の一人が、恵実がとび箱を跳べなくて安堵したと洩らす。最近『恵実』の雰囲気が変わって少し心配していたという。
恵実「あたしの身長は136センチ。授業で当てられたときは、わからないなりに考えて答えを出す。そうだよあたし、楽したいがために大切なこと忘れてた。あたしの代わりなんて誰にもできないはずなのに…。もう入れ替わりはやめようってリマに伝えないとね」
・保健室で一人休憩していた恵実にセキがリマの状況を伝える。
セキ「アイツ、廊下でシャルと一緒に泣きわめいてたぞ」
恵実「わかった。リマたちを助けにいこう!」
セキ「ックソ…次も意味不明な解除方法だったらブッ殺すぞォ?!」
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