こう

プロローグ

 暑い夏の昼時、セミの鳴き声が響き渡る人気のない山道を足早に歩いてた。


 山の中を少し歩くと湖が現れる。


 ここは、僕しか知らない隠れスポットだった。


 親が高校生の頃に亡くなってから、ずっと一人暮らしだった僕にとって貴重な食料が取れる場所で、よくバイトがないときには、ほぼここにくる。


 魚が1匹釣れたとき、どこからともなく猫が3匹やってきた。


「クロ、シロ、ミケ来たか。」


そして、その猫たちは物欲しそうな眼で見つめてきた。


「わかったよ。少し待ってろ。」


バックの中からサバイバルナイフとミニまな板を取り出し、釣った魚を簡単に捌き三等分に切り分けた。


 3匹の前にそれぞれ一切れずつ置くと嬉しそうにそれに食いついた。


 僕がこの場所を見つけたとき、この3匹に初めて出会った。


 湖を見つけたときは、木の枝を使って作った釣竿を使い釣りをしていると、その3匹がやってきた。


 初めて魚が釣れたとき、その3匹は自分たちに頂戴と言わんばかり鳴いていた。


 その光景が可愛くて仕方なく魚を与えた。


 それから毎回1匹目が釣れると、どこからともなくやってきてその魚をねだるようになっていった。


 彼らは、白猫のシロ、黒猫のクロ、三毛猫のミケの三匹だ。


 それから、魚を大体食べてしまうと遊んでくれと言わんばかりにすり寄ってくる。


 猫好きの僕は、これがたまらなくこのルーティンは至福のときだった。

 


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