花嫁修業
勝利だギューちゃん
第1話
「今日から、メイドが来るからな」
朝、親父に言われた。
メイド、突然だった。
僕の家は、一般家庭。
漫画に出てくるような、けた外れのお金持ちではない。
むしろ、中流階級。
とても、メイトを雇う余裕などないはずだ。
「心配するな、ボランティアだ」
親父は言うが・・・
それって、法律に違反するのでは?
「家政婦のほうがよかったか?」
「メイドさんで、お願いします」
家政婦とメイドって、どう違うんだろう?
若い女の子がメイドで、おばさんが家政婦。
って言えば、全国の女性を敵に回すな・・・
「親父」
「どうした?せがれ」
「そのメイドって、俺の同級生という、落ちはないよな?」
「安心しろ。初対面だ」
いえ、むしろ同級生というありきたりな展開のほうが、よかったです。
「お袋だなんて、言わないよな?」
「初対面と言ったろ?それに、あのような、ぶよぶよだぶだぶの、メイドなんていない」
確かにそうだが、愛する妻をそう言っていいのか?
「かみさんだから、言えるんだ。他人に言えば失礼だ」
「たしかに、メイドというには無理があるな・・・」
「だろ?」
だれなんだ?
気になる。
「まあ、花嫁修業のようなものだ。母さんにいろいろと教わりたいらしい」
「お袋、女子力は高いからな」
「ああ。いい講師になるぞ」
と言う事は、逆に授業料をもらうのか?
「いや。お前の面倒をみるという事で、ただだ。」
「ただ?」
「メイドは、彼女の希望。」
希望って・・・
「お前が学校から帰るころには来ているからな」
「そういえば、お袋は?」
「歓迎会の準備をしに。買いだしだ」
親父も、お袋も知ってるのか?
「・・・って、親父。仕事はいいのか?」
「安心しろ。もう原稿はあがった」
親父の仕事は、作家だ。
家にいる事が多い。
なので会社の女子社員と言う事はない。
考えていても仕方ない。
学校へ行こう。
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