私色

 初めは何物にも染まっていない無色だった「私」

 育っていく中で見つけた自分だけの色

 それはどんな色だったのか


 気づいたら他人の色を気にするあまりに自分の色がわからなくなった

 様々な色が折り重なって黒く塗りつぶされていく


 私は汚れてしまった そんな風に思った

 だけど違った

 黒は汚れじゃない

 いろいろな色が混ざり合っただけ


 本来の他人の色もみんな違って綺麗だった

 綺麗だから憧れて 私は他の色と混ざることで自分の色を歪めようとした

 黒は汚れじゃない

 ただ他の色のよさを取り入れようと努力した結果だった


 折り重なった黒の中にはまだ「私」色が眠っているはず

 きっとまた思い出せる

 私が私でありたいと思っているうちは



〈あとがき〉

 他人のアドバイスを聞き入れること、他人に憧れて近づこうと努力することはいいことだと思います。ですが、「自分らしさ」を否定しない範囲の方がいいのかもしれません。結局は自分は自分でしかないのですから。

「黒」は私の中で混乱の象徴のように表現してみました。いろいろな色が混ざると最終的には黒に染まる……因数分解のように簡単にはいかなくても、一つ一つを理解することで黒の中から違った色が見つかるといいなあと思います。

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こころ 海星 @coconosuke

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