第56話 『感想が欲しすぎて5万課金した話』 秋雨千尋さん
〇作品 『感想が欲しすぎて5万課金した話』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054892714982
〇作者 秋雨千尋さん
【作品の状態】
完結済。短編。
【セルフレイティング】
なし。
【作品を見つけた経緯】
@tonari0407さん作の『言葉を贈る』をレビューした方の、フォローしていた作品の一番上にあり、そのタイトルが気になって読みました。
【ざっくりと内容説明】
Web小説での失敗談。
【感想】
タイトルに引かれて読んでみたら、失敗談が書かれていました。
Web小説を書き始めた作者さんですが、中々読まれなかったことから、感想を書いてくれる人に依頼をします。すると依頼者は、(当然ですが)自分の作品について語ってくれて、その快感にはまってしまうのです。
作者さんが、どうやって感想という名の「魅惑の渦」から抜け出せたのかは是非作品を読んでいただきたいと思いますが、案外、同じように考えている人や経験したことのある人はいるように思います。そしてこれは、SNSを利用している人たちにも同じようなことがいえるでしょう。
作品を読んでもらったり、自分自身が発信したものを見て欲しいというのは、承認欲求です。他者に認められてもらいたい。それは確かに人がよく持っている感情であるとは思います。
しかし、物語を書くのは「何のためか」を問うたとき、イコール承認欲求ならば少し悲しいような気もします。もちろん、それによって自分の感情が満たされたい、という気持ちを否定はしません。ですが、そういう気持ちで書いたお話は、その他大勢の気持ちを満たそうとして、いつか破綻するような気がするのです。
手腕のある人が、沢山の手綱(多くの人の要望)を御せるならいいですが、それが出来なくなった途端、物語は狂暴なものになります。己が信じて書き続けてきたものであれば、誰が読まなくとも大切にできますが、画面の向こう側にいる見えない多くの人たちに向けて書いたのが読まれなかったとき、その人はどんなことを思うのでしょう。それはとても虚しく、時には書き手を傷つけてしまうようにも思います。
では、自分の殻に閉じこもっていたらいいのか、というとそうでもありません。
その作品が読まれるか否かは、世に出してみなければ分かりません。それも、世に出た瞬間に沢山の人たちに認められ、または求められることもあれば、数年後、数十年後に評価される場合もあります。
Web小説の世界は、反応が反射的に来るのが魅力かもしれません。でも、結局そこへ出しているものは「物語」なのです。いつ評価されるか分からない、芸術の一種。読まれるようにコントロール出来ればいいんですけどね。それが出来ないのがこの世界なのだと思います。
今回は『感想が欲しすぎて5万課金した話』をご紹介しました。
それでは次回、またお会いしましょう。
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