4話 預言の範囲
「いや、好きっちゃ好きだよ。パーティメンバーみんなのことが好きだし...」
「そうですか...。まあ今回はそれでいいですよ? ですが今度はちゃんとした回答を聞かせてくださいね。私は...私はもしかしたらクリスさんのことが好きかもしれませんから」
「え?」
「ではおやすみなさい」
俺のことが好き...。なんで? そんなルビアに対して好かれるようなことしたか? 俺はどうなんだろう...。俺はルビアのことが好きか? そりゃあパーティメンバーとしては好きだ。だけど恋愛対象としては? わからない。はっきり言ってそんな対象としてルビアもエルミナも見たことがない。見ちゃいけないと思っていた。エルミナは一国のお姫様でルビアは公爵令嬢。そんな人に恋愛感情を抱いてどうなる? もし付き合えたとしても世間は許してくれないだろう。
エルミナもルビアも女性としては魅力的だ。エルミナは容姿がいいし、性格もいい。そして巨乳でスタイルがいい。はっきり言って欠点がない。そしてルビアも容姿はいいし、性格も申し分ない。巨乳じゃないがそれなりにいい体型をしていてかわいい。
(でもこんなことを考えてしまった以上、今後色目で見てしまうかもしれないな...)
俺はどっちが好きなんだ? まずエルミナが俺を好きと言ったわけじゃないし、ルビアも好きとはっきり言ったわけじゃない。
(まあおいおい考えていこうか...)
パーティ内でこんな問題が発生するなんてな...。
次の日の朝。ルビアの言葉を聞いたからあまり寝れなかった。
「今日は何をしようか...」
俺が今日の予定を立ててこのパーティのやることが決まるため、今日の予定を立てなくてはいけない。
(うーん...)
ルビアと俺がEランクに上がったためDランクのクエストまで受けられるようになった。エルミナはワイバーン討伐を受けたって言っていた。
(ノエルにでも聞くか...)
俺はそう思い預言を使う。
{やっと呼んでくれましたね! 最低でも3日に1回は呼んでよ!}
{あ、ごめん}
こんなに怒っているとは...。そんなにさみしかったのかな? 次からは気を付けよう。
{それで用件はなに?}
{Dランクに上がりたいんだけど、何かいい案ある?}
{そうね...。あなたの未来を見て一番早くDランクに上がっているのはワイバーン討伐ね。その次がクエスト外の敵と戦って運よく上がるってケースね。でも後者だとルビアって子が大怪我をするわ。だから潔くワイバーン討伐しに行くのがいいと思うわ}
ルビアが大怪我...。だとしたら不用意にクエストを受けることができない。選択肢がワイバーン討伐しかなくなったな...。
{ありがとう!}
{いいえ。後言っておくけど未来っていろいろあるから直近の未来は見れないのよ}
{直近の未来とは?}
{そうね。クリスが戦っている時の敵の未来ぐらいなら見れるわ。でもクリスがアーサー戦みたいに不用意に動いた後の未来まで伝えることはできないってこと。未来は1つじゃなくて複数あるの。だから今現在クリスは私の力でα世界線からβ世界線に行くことを選択することできるってこと}
{α世界線? β世界線?)
{例えばα世界線はワイバーン討伐を行った時の未来でβ世界線はそれ以外のクエストを受けた時の未来ってこと。α世界線ならルビアって子は怪我しないけどβ世界線ならルビアって子が怪我するってこと。でもβ世界線以外にも複数の世界線があって、直近に変わる世界線には変えてあげることができないわよってこと}
{...。ありがとう}
{わかってないわね...。まあいつでも説明してあげるわよ}
{ありがとう!}
そう言ってノエルの声が聞こえなくなった。それにしても未来が複数あるってことか...。1秒前などの未来は見えるけど、コンマ何秒だと未来を変えることはできないってことをノエルは言っていたんだよね。
そしたら預言も弱点があるってことだよな...。1つ目はコンマ数秒先の未来を見ることができない。そしてコンマ数秒の未来が見えないってことは、直感で動く敵に対して預言が通じづらいってこと。
(この情報を知れただけよしか...。まあまずはみんなとワイバーン討伐しに行くか...)
そう思い部屋を出た。
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