13話 お互いの進捗状況


 エルミナを探して早1時間。




(本当どこにいるのだろう?)




 最後にいそうな場所---ギルドに入る。入って少し時間が経ったところでエルミナがギルドに入ってくるのを見かける。エルミナがクエスト完了を受付嬢に言ったのを確認して話しかける。




「エルミナ!」




「あ、クリス! 帰ってきたのね。おかえり!」




「ただいま。クエストが終わって申し訳ないけど、場所を移してお互いの進捗状況を話さない?」




「いいけど、一回宿に戻らしてくれない? そうね...。2時間後にレストラン---エリーオに集合でどう?」




「わかった」




 エルミナがそう言うとすぐさま宿に戻っていった。




(何か用事でもあるのかな?)




 俺とエルミナは泊っている宿が違う。エルミナはオージラ内で一番高い宿。俺は世間一般的な宿。お姫様だからあの宿に泊まるのは普通なんだろう。かくしてお金でも持ってきていたのかな? 俺はそこまでお金がない。迷宮ダンジョンに行くまでに倒したモンスターと迷宮ダンジョン内のモンスターをお金に換えてもらってやっと今の宿で安定した暮らしができるレベル。




(それにしてもお金を持っているっていいな...)




俺も一旦宿に戻り、少し休憩をはさむ。そう言えば今日ちゃんと休憩をはさむのって初めてだな。そう思いながら少し寝てしまう。







 起きたら集合時間の5分前。やばい。この宿からエリーオまで10分ちょっとかかるのに...。遅れてしまう。俺は全速力で走る。それでも集合時間には間に合わない...。場所は選んでいられない...。周りを見渡して人があまりいないことを確認して俺は高速ウィップを使いエリーオまでたどり着く。その時間経ったの1分。




 まだ2分余裕があるな...。俺はそう思っていたらエリーオの前でスパンコールドレスを着たエルミナがいた。




「かわいい...」




 見とれてしまった。はっきり言ってかわいい。かわいいと美人が合わさった感じだ。金髪ロングに似合うシルバー色のスパンコールドレス。




 すぐ我に返りエルミナに話しかけに行く。




「遅れた。ごめん」




「いいよ。じゃあ入ろ!」




「うん。それにしてもすごい服だね。高そう...」




「それだけ?」




 エルミナが顔を赤くしながら尋ねていた。




(それを聞くか!)




 でも本心を言った方がいいよな...。




「似合っていると思う。かわいいし」




「あ、ありがとぅ」




 中に入り料理を食べ始めて思う。今の俺ってエルミナのお荷物じゃないか? 服装はいつも通り。何もファッションをやっていない。周りから見たらエルミナが可哀想に見えるだろう...。




(ファッションするならするって言ってくれよ...)




 言ってくれてもオシャレな服はもっていない。それでも心の準備ぐらいできた...。




「まず私からね。昨日Ⅾランクになりました!」




「え? 早くない! おめでとう!」




 早すぎる。こんなに早いとは...。明日から一緒に手伝おうと思っていたのに。




「そっちは加護をもらえたの?」




「もらえたよ」




「どんな加護?」




「それは実際に見せるよ。エリーオを出たら少し広場に行こうか」




「うん」




 俺も試したかったところだ。それに仲間になら俺がどんな魔法を使えるのか教えるのは当然。




 お互いの進捗状況を言った後は、この1週間どんなことがあったかを話してエリーオを後にした。それにしてもこのエリーオ、おいしかったな。メインディッシュがビックロブスターの丸焼き。そしてオーク肉と薬草のコンソメスープ。他にも数品出てきたが本当においしかった。




 エリーオから少し歩いて、誰もいない広場に着く。




「それでどんな魔法を見せてくれるの?」




「まず俺に攻撃魔法を撃ってよ」




「え? 正気?」




「うん。頼む」




 俺が言うと、エルミナは少し悩んだ後言う。




「...。怪我しても知らないからね」




 するとエルミナは小さな竜巻を出した。ここでそれを使うのはやばい。町に被害が出たらどうするんだ! 俺はそう思い、竜巻が大きくなる前に近づいて手を伸ばして竜巻を触り、魔法無効化を使う。




 竜巻があっという間に消えた。




(これが魔法無効化...)




 体感的に現状は魔法を触らなくちゃ無効化できないっぽそう。だけどこの魔法は練習すれば強化できそうだな...。




「え? どういうこと?」




「魔法無効化って魔法。俺が触った魔法が無効化されるってこと」




「そんなのチートじゃない...」




「じゃあ二つ目ね」




「二つ目もあるのね...」




 俺はそう言ってエルミナに痺動ニールを使う。




「え? 体が思うように動かない...。これが新しい魔法?」




「違うよ。これはモンスターからコピーした魔法。これから使うのが加護してもらった魔法」




 そう言ってエクストラヒールを使う。




「え? なにをしたの? 体が軽くなったんだけど?」




「エクストラヒールって魔法で状態異常回復と少しの回復があるらしい」




「状態異常回復はわかったわ。少しの回復ってレベルかな? この前怪我したところが治っているのだけど?」




「え?」




 昨日怪我した話を聞くと、肉が見えるレベルで脇腹をやってしまったらしい。それを回復したってやばくないか? ...。それよりも




「なんでそんな無茶な行動したんだよ!」




「ごめんなさい。でもいち早くⅮランクに上がりたくて...」




「今度からは無茶しないでよね。心配するんだから」




「うん。そう言うところ...」




 最後の方が聞き取れなかった。




「なんて言った?」




「何でもない! また明日ね! おやすみ」




「あぁ。おやすみ」




 それにしてもエルミナはなんて言ったんだろう? 


 

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