もう一つの世界線
梶野七樺
もう一つの世界線
僕は、今日すべてを捨てて『もう1つの世界線』へ逃げる。
大きくて、大切なものだけを入れたリュックを背負って。
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僕は生まれたときから、10人中10人が褒める容姿.一部を除いた人間からの人気.結構高い地位...。
僕は多くの人が羨むほどの全てを持っていた。
しかし、僕はみんなが当たり前のように与えられている、親からの愛を与えられていない。
僕が何をしても親は『この家の子どもならこれくらいできて当然』と言う。その度に僕は、この人たちにとって必要なのか?別にこんなの僕じゃなくていいじゃないかと思っていた。
そして、僕はある時から全てを捨ててもいいから親からの愛を欲するようになった。周りからの薄っぺらい称賛よりも。
ある時、たまたま巷で噂されている『もう1つの世界線』の話を僕は聞いてしまった。ずっとこの状態を抜け出すために、色々と調べたり考えていたときだったから、僕は藁にもすがる思いでそのことについて調べた。
その結果、『もう1つの世界線』は実在するものだった。それも、実際に行った人がいるらしく行く方法などがかかれている日記があるらしい。
ちなみに、『もう1つの世界線』は自分そのものは、姿.形も変えずにそのまま存在しているが、自分を取り巻く環境が、正反対に変わるらしい。
例えば僕の場合だと、容姿はそのままだけれども、人気も地位もない。しかし、親からは溢れんばかりの愛情を注がれるということだ。
あまりにも願っている状態だったから、僕は急いでその日記を探しにいって、やっとの思いで手に入れた。
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僕は机の上に置いていた日記を手に取り、ページを開く。ちなみにこの日記を書いた人は『もう一つの世界線』へ行って人気.地位などすべてを手に入れて、とても幸せになったそうだ。
僕はこの人と違って全てを捨ててしまうのだけど、なんだか幸せになれそうだ。
僕は深呼吸をして自室のドアの前へ行く。
そして僕は何度もこの日のために、練習をした呪文を唱えて、笑顔で扉を開けた。
(おわり)
もう一つの世界線 梶野七樺 @siosoruto
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