閑話
朝、早めに起きて自分の弁当を作り、海君の家へと向かいます。
まさか好きな人と、海君と付き合えるとは思っていなかったので、最近は頬が緩みっぱなしです。
海君は不思議な方です。高校生とは思えないほど大人びていて、常に冷静で、近寄りがたい感じのお方でしたが、そんなことはありませんでした。
少し大胆なことをすると、直ぐに顔は赤くなるし、物凄く優しくて、海君のクラスのムードメーカー的な存在の、澤井くんにも信頼されているようです。
私は自分で言うのも何ですが、顔立ちは綺麗な方だと思っています。それ故に何度も交際を迫られ、その度に男の人が嫌いになっていきました。
去年この高校の入学式の日に私は体調を壊してしまいました。
また中学の時みたいに、変な目で見られ女子からは嫉妬、男子からは好奇の目に晒されると思い、胃が物凄くキリキリと痛みだしました。
そんな私に声を掛けてきてくれたのが、海君でした。
面倒くさそうな声で、
『大丈夫か』
と、声を掛けてきました。
当然私はそんな言葉を信用するはずがなく、冷たい態度で、
『大丈夫です。ほっといてください』
と、言ってしまいました。過去に戻れるなら戻りたい……。
ですが海君は私の言葉を無視し、いきなりおんぶしてきたのです。
完全にパニックになった私に海君は一言、
『別にこの機会にお近づきに~とか思ってない
から。ほっとくとバチに当たりそうで』
と、告げ私を保健室まで運んで下さいました。
その後私は、彼が見返りを要求してこないかと、見張っていましたが運ばれていた時に言っていたように、私に近付くことはありませんでした。
気付くと私は彼を目で追うことが多くなっていき、次第に彼に惹かれていきました。
最初の一年は、付き合いたいとかは考えていませんでしたが、このままでは後悔すると思い、ついこの間告白し、見事付き合うことになりました。
まだ決して男の人を信じたわけではありませんが、海君だけは信じることが出来ます。
海君はそんな出来事は忘れているでしょうが、私は彼に会えて良かったと思います。
もう少しスキンシップを増やして欲しい気もしますが、今はこれだけで幸せです。
あ、こんなことを考えている間に海君の家に着いてしまいました。
私はチャイムを押し、海君が出てくるのを待ちます。
「おはようございます!」
今日も海君と色々な事が出来ると良いと思いました。
どんどん思い出を増やし、最高の高校生活にしたいです!
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