ラブレターをもらい、待ち合わせ場所に行ってみると、そこにいたのは塩対応で有名な美少女だった
@1ya12ma2to
第1話
「ん?」
いつも通り学校に着き、下駄箱を開けてみると、一通の手紙が入っていた。
靴と手紙をすぐに回収し、トイレの個室に入るとすぐに中身を確認する。
そこには、
『放課後、校舎裏に来てもらえますか』
と、書いてあった。
綺麗な字で一文だけ書かれていて、名前は書いていなかったので、イタズラかもしれないと頭の片隅に入れておき、教室に行くことにした。
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「海、今日暇?」
「ん?」
全ての授業が終わり、帰る準備をしているといかにも陽キャでイケメンな奴が話しかけてきた。
「いや無理。この後野暮用があるから」
「……あのボッチで有名な海に予定が!?」
ここでいきなりだが、俺の名前は佐伯 海
(さえき かい)。中肉中背で、勉強も身体能力も普通な特に秀でるところもない高校二年生。
そして、会話早々ひどい事を言ってきたのは、澤井 陽一(さわい よういち)。
名前にも入っているように、俺が陰ならこいつは陽みたいなものだ。
人当たりの良い性格に、整っている顔立ち、勉強はそうでもないが、これほど揃っていれば男女ともに人気なのも頷ける。
どうして俺たちが仲が良いのかは、単純に付き合いが長いということもある。
人気者ゆえの悩みやらを聞いていたりして、今に至るということだ。
と、頭の中で整理するのはここら辺にして、
「じゃあ俺行くから」
「おう、また明日な」
そして俺は校舎裏に行くことにする。
まだイタズラという可能性を完全に捨てきれていないため、ドキドキ半分、疑い半分といったところだ。
考え事をしながら校舎裏に行くと、一人の女子生徒がいた。
(あの人ではないだろう)
そう思った理由は、彼女がこの学校で有名な生徒だからだ。
葉山 菫(はやま すみれ)。それが彼女の名前だ。
容姿端麗という言葉が彼女のためにあるような誰もが見惚れる容姿。
日本人特有の綺麗な黒髪を腰辺りまで伸ばし、整った顔のパーツ、透き通っている白い肌、おまけに胸部には立派な物がついている。
当然男女ともに人気があるが、実際には女子生徒しか関わっていない。
彼女は女子には人当たりが良く、笑顔もよく見るが男子には塩対応でも有名だ。
今まで何度も告白されてきているが、当然のように全て断り、近付く男子を全て拒絶している。
そんな告白するどころか告白される側の人が冴えない俺に告白するはずがない。
そう切り替え、隠れるのをやめて校舎裏に出る。
足音で気づいたのかこちらを見る葉山。
嫌な顔をされると思い、顔をそらして歩いていくと、葉山は俺の予想と反した反応をした。
俺を見るといきなり顔を赤くし、どこか落ち着かない様子。しまいには俺に話しかけようとしている感じだ。
俺は気づいていないふりをし、上を見上げる。……良い天気だなぁ。
「あ、あの!」
すると葉山は話しかけてきた。
まさか手紙を書いたのは彼女ではないだろうと考えながら葉山を方を見る。
「き、来てくれてありがとうございます」
……ん?この発言からすると呼び出したのは葉山っぽいんだが。
「も、もしかして俺の下駄箱に手紙を入れたのって葉山?」
「は、はい」
うるうるとした瞳で上目遣いしてくる葉山はダメージ大だが、今はそれどころではない。
「それで、呼び出した理由は?」
俺は冷静に返す。
「は、はい!……わ、私と付き合ってください!」
「……まじで?」
俺を呼び出したのは、誰もが憧れる美少女、
葉山 菫で間違いなかったようだ。
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