第171話 ゲスモブ、復讐を前倒しする(中編)

※ 注意! エログロ描写が嫌いな方は、読まないで下さい ※


 復讐二日目、夜の本番を前に女王の様子を見に行くと、精神的に病みつつあった。

 そりゃあ、あれだけ長時間に及ぶ執拗で激烈な拷問を受け、最後は両足を切り落とされたのだから頭もおかしくなるってものだ。


 しかも、目覚めたら自分の寝室で、体には傷一つ残っていないのだから。

 こちらの世界の治癒魔法が、どの程度のレベルかは知らないが、討伐組の梶原が貴重な存在と思われているのだから推して知るべしだろう。


 今現在の女王は、現実と夢の区別がつかなくなっているのだろう。

 確かに自分は拷問を受けた、受けたはずだが体に傷は無い。


 拷問を受けたのであれば、自分は城の私室から連れ出されたはずだが、見張りに付いていた者達は何一つ異常を感じていない。

 拷問を行ったのはアイテムボックスの中で、そこが何処かという情報も何一つ与えていない。


 脳には拷問の記憶がハッキリと残っているのに、それを証明するものが何一つ残っていないのだ。

 しかも、拷問の内容が内容だけに、それを他人に伝えるのも躊躇するだろう。


 一国の女王が素っ裸にされて全身を余すところなく晒し、泣き喚き失禁さえした上に惨めったらしく許しを乞うたのだ。

 そんな事を伝えられる訳がないだろう。


 その日、女王は小さな物音にも怯え、使用人の僅かな失敗にも目を吊り上げて怒り、情緒不安定な一日を過ごしていた。

 ちなみに、その様子を坂口と井川に見せてやると、腹を抱え、涙を流しながら爆笑していた。


 こちらはこちらで、少し目が逝ってる感じでヤバさを感じる。

 そして二日目、日本では三連休初日の夜、この日は女王が起きているうちに胃の中に睡眠導入剤をぶち込んで眠らせた。


 あとは復讐初日と同様に全裸にして、大の字に磔にしてから目を覚まさせる。


「ひぃ! やめて……やめて下さい……」


 昨日は目を覚ました途端、高飛車な態度を見せていた女王が、乗馬用の鞭を手にした井川の姿を見た途端、小さく悲鳴をもらしてガタガタと震えだした。

 それを見た井川は、にちゃぁと笑みを浮かべた後で坂口に頷いてみせた。


 坂口は無表情のまま、緑色の液体が入ったグラスを女王の口許へと近付けた。


「飲め。少しでもこぼしたら、どうなるか分かっているな?」


 井川がヒュッと鞭を振ってみせると、女王はガクガクと頷いた後で、坂口が差し出したグラスから緑色の液体を飲み干した。


「心配は要らないわ、今飲ませた薬は性的感度を上げるためのもの。つまり、いつもの何倍も気持ち良くなる薬よ」


 坂口の説明を聞いて、女王は顔を強張らせて俺に視線を向けた。

 こいつ、俺に犯されるとでも思っているみたいだが、そんな気は毛頭無いぞ。


「それから、これは性的感度をアップするクリーム、今からこれをたっぷり塗ってあげるわ」

「その前に、忘れちゃ駄目よ」


 井川が取り出したのは、口と鼻の部分だけが空いた黒いゴムマスクだ。


「あら、髪が邪魔ね」


 マスクを被せるには女王の長い髪が邪魔になると気付くと、井川は大きな断ち鋏を手にして無造作に髪を短く切り始めた。

 シャキッ、シャキッっと鋏が鳴る度に、女王は昨日の記憶を思い出しているのか、ビクビクと体を震わせていた。


「ひぃぃ……」


 髪を切り終えた井川が、最後に耳元スレスレで鋏を鳴らすと、女王は短く悲鳴を上げて失禁した。


「あらあら、始める前からお漏らしなんて、もう薬が効いてきちゃったのかしら? これじゃあ、この先耐えられるかしらねぇ……」

「やめて……ください……」

「ふふっ、だーめ!」


 井川は満面の笑みを浮かべながらマスクを被せ、女王から視界を奪うと、坂口と共にマッサージするようにクリームを塗りたくり始めた。

 腕やふくらはぎから始め、二の腕、太もも、背中、腹、そして、乳房や陰部にも、丹念に塗り込んでいく。


 媚薬も催淫クリームも、二人が通販サイトから取り寄せた眉唾物の代物だ。

 そして、坂口が次に手にした物は、振動式のマッサージ器、電マだ。


「さぁ、今夜はたーっぷりと気持ち良くしてあげるわ」

「あっ……やめぇ……」


 井川は背後から手を回し、耳元でささやきながら女王の乳房を揉みしだき、乳首を弄ぶ。

 そして坂口は、スイッチを入れた電マを女王の陰核へと押し当てた。


「ああぁぁぁ……やめ、やめてぇぇぇ……」

「やめないわよ。遠慮しないで、気持ち良くなりなさい」

「嫌ぁ、こんなの知らない……駄目ぇぇぇ……」


 媚薬や催淫クリームにどれほどの効果があるのか分からないが、女王は激しく体を痙攣させながら昇り詰めたが、二人は手を休める素振りも見せない。

 女王は、昨日とは違って喜悦の叫び声を上げながら、二度、三度と絶頂を繰り返す。


「あのお薬は、気持ち良くなればなるほど効き目を増すの、ほーら、どんどん気持ち良くなるわよ」

「待って……もう無理、死んじゃう!」

「心配要らないわ、イキ続けて死んだ人は居ないそうよ」

「お願い、待って! いっでるがらぁぁ……いっで、いっで、いぐぅぅぅぅ……」


 井川と坂口は、途中で役割を交代しながら一時間以上も責め続け、女王は色んな汁を溢れさせながら悦楽のダンスを続けさせられた。

 電マのスイッチが切られた時には、女王は昨日の鞭打ちが終わった時よりも消耗しているように見えた。


「よく頑張ったわねぇ……ご褒美にお水を飲ませてあげるわ」


 井川がペットボトルを口に押し当てると、女王は喉を鳴らして薄緑色の液体を飲み下した。

 ペットボトルの中身は、媚薬を水で薄めたものだが、視界をマスクで奪われている女王には分からなかったのだろう。


「ねぇ、美味しい? ねぇ、どんな味がした?」

「嘘ぉ……嫌ぁぁぁ……もうやめて!」

「大丈夫よ、違うオモチャも沢山用意してあるの。クリームも追加してあげるわ」

「嫌ぁぁぁぁ!」


 次に坂口が手にした物は、男性器を模したアダルトグッズだった。

 そこに催淫クリームを塗りたくり、女王の股間に突き入れた。


「いだぁぃぃぃ……」

「うっそ、いい歳こいて処女だったの」

「うるさい! うるさぃ……」

「なに、泣いてんの? あははは、マジうけるぅ!」

「処女卒業、おめでとう! あははは!」


 余裕たっぷりのドS女の演技がぶっ飛んで、井川と坂口は素で笑い転げている。

 はっきり言って、もうドン引きだ、エロさなんか欠片も感じない。


「こ、殺してやる……お前ら全員殺してやるぅ!」

「あははは! 大丈夫だって、そんな思いなんか吹き飛ぶくらい気持ち良くしてあげっからさ!」

「そうそう、他に色んなオモチャがあるから、退屈なんかさせないから」


 実際、アウトドアテーブルの上には、アダルトグッズの展示会かと思うほど、振動したり、吸引したり、突起付きだったり、様々な種類や形の物が並んでいる。

 井川と坂口は、手を変え、品を変え、前も後ろも、容赦なく女王を責め続けた。


 約三十分でポジションチェンジ、約一時間でワンセット、五分ほどの休憩を挟んで再開する。

 途中、何度も女王は失神していたようだが、二人は手を止める素振りも見せない。


 女は男と違って何度でもイケる……なんて言われているが、物には限度があるだろう。

 女王の反応も、最初は止めてもらおうと懇願していたが、いくら頼んでも無理だと知ると、二人を口汚く罵り、喚き散らしながらも快楽の波に飲まれ続けていた。


 喜悦の声も、最初はエロさを感じるものだったが、次第に獣じみていき、人間の外面の根底にある野生が剥き出しになっているように感じた。

 絶頂時の痙攣も激しさを増し、悪魔でも憑いたのではないかと思うほどで、鉄パイプで組んだ磔台が壊れやしないかと危惧するほどだった。


「本当に人間って泡を吹くものなんだな……てか、こんなの見せられたらEDになりそうだ」


 女王は乳房も陰部も晒して、性的な快楽を感じているはずだが、一ミリも興奮しないしホラー映画が現実になった気分だ。

 途中で三十分ほどの休憩を挟んだが、結局女王への快楽責めは七時間以上に及んだ。


 もう何度目かも分からない失神に陥った女王の拘束を解き、拘束用のベルトで擦れた腕と足、それに無残に切られた髪を魔法で復元する。

 自宅で待機していた清夏を呼び出して、女王の体に清浄魔法を掛けさせた。


 女王に寝間着を着せて、寝室のベッドに戻して復讐二日目は終了した。

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