14話・黒い画面
「ねえ、ライトそこにいる?」
「なんだ?」
声だけしか聞こえない、このやりとりにもだいぶ慣れてきた。彼は光の精霊、ライト。
姿は見えないけれど、私のそばにいるらしい。
「いつ、封印された魔物はくるの?」
私の役目はこの国を滅ぼそうとする魔物から護ることらしい。ただ、いつなのかがわからない。私はいつまでこの魔法練習やお姫様ごっこをしなければいけないのか。
「わからない」
「そっか」
期待はしていない。けれど、返ってきた答えに私はがっかりしてしまう。
スマホを手にして、画面をタップするがすでに力を失くし光ることはない。真っ黒な画面を映すだけだ。
タツミ……。会いたいよ。会って話したい。抱き締めて欲しい。
もう、ここにきて一週間が経ってしまう。
頭がおかしくなっていく。
受け入れてしまえば、楽になるのかな……。
「私だけでなんとかなるのかな……」
「――――」
ライトは答えなかった。
ギュッ
スマホを抱き締めて、私は思考を止める。
バタバタと外が騒がしくなった。なんだろう?
コンコン
「カナ」
ノックと一緒にカトルの声が聞こえた。
「はい」
「開けるよ?」
何の用だろう。今日の練習は終わってるし……。
部屋を覗き込んだカトルは私の顔を見て、ホッとしていた。
「少し私は出てくるがカナはここにいてくれ。外に出てはいけないよ」
そう言って、カトルはドアを閉めコツコツコツと何処かへ歩いて行った。
「今のは何だったのかしら? ねえ、ライト」
「――何かが動いたのかも知れない」
「魔物?」
「いや――」
何が動いたんだろう? ライトはすぐに黙ってしまうから、あまりあてにならない。何かあるなら言えばいいのに。
何もしゃべらなくなった。何処かに行ってしまったのだろうか。
「何よ……」
私はもう一度、スマホの黒い画面をタップした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます