10話・輝く光

「何をしてるの?」


 私がさっきもらった指輪に、カトルが何かしている。


「光の紋章をいれているんだ」


 指輪をみると、さっきまではなかった小さな紋様がはいっていた。


「あとはこれを――」


 そういって、カトルは小さな宝石がついた指輪をライトの指輪の上にはめた。


「形式だけだけどね」


 形式? なんのことだろう。


「これで終わりだよ」

「これで聖女なの?」

「あぁ、君は聖女だ」


 なんだか、とてもあっけない。こんなに簡単になれるものなのかしら。


 心配とはよそに、カトルは続ける。


「今日はもう遅い、眠れそうなら眠ろう。続きは明日教えてあげるから」


 そういって、手を引いて長い廊下を歩きだした。けれど、私がいま欲しい手の温もりじゃないことに、とても戸惑った。


 ーーー


 これで、本当に聖女になれたのかしら?


 用意してくれたという、私の部屋に戻ってきて、カトルは王様のところに用事があるからと行ってしまった。ベッドに座り、私は二つの指輪をながめる。

 ライトに貰った指輪は指にぴったりとはまってキラキラと小さな光をたたえていた。

 カトルに貰った指輪は小さな宝石が煌めいていて綺麗だけどサイズに少し余裕があるのかするりと外れてしまう。


 そうだ、魔法!


 ランプの灯りを落として暗くなった部屋を光らせようと思い、私はライトの言った言葉を思い出す。


 明るくなる光をお願い。


「ライト」


 そう呟くと、あたりがポゥッと、明るくなった。


 すごい、ホントにできるんだ。

 明るくなった部屋がまるで自分の部屋のあかりみたいで、また辛くなってしまった。


 私、帰れるのかな。


 なんだか、急にすごく眠くなってきたので私はそのまま目を閉じ、意識を手放した。


 カナがよんだ先ほどの残光がカナに近づいて、それからそっと泡のように消えた。

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