第1話
エクストラスキル、作者の気まぐれ発動。
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とある県、とある家のとある部屋。起きる時間を知らせるアラームが鳴り響き、それをベッドで眠る主がそろそろと腕を動かして止める。
廣瀬海。16歳、高校1年生の普通の男子高校生だ。
海は時計を確認し、1つ欠伸をした。そしてそのまま起きるかと思いきや、もう一度目を閉じた。
(後3……いや、5分だけ………)
二度寝の常套句を口にして、どうせ次に目覚めるのは学校に行くのは遅刻確定の時間帯。
もう一度夢の世界へ旅立とうとする海をしっかりと止める者が存在した。
「……かーいくん」
海の部屋のドアをそろーりと開ける女子。黒く美しい髪を腰ほどまで伸ばし、整った顔立ちは10人中20回は顔を見られるほどに美しい。
(……寝てる?寝てるよね……ふふ……)
ニコリと笑ってそろりそろりと海の眠るベッドへ近づき、目を閉じていることを確認。
もちろん少女は海のアラームがなる時間を知っているし、当然二度寝へと旅立った事も知っている。
「……かーいくん」
頬をつんつん。ついでにもう1回つんつん。海は丁度眠りに落ちるあのなんとも言えない気持ちよさに身を委ねている瞬間を邪魔され、一瞬不快な気持ちになったが、相手が誰だかわかった瞬間、それも霧散した。
何故なら、目の前の少女は海の愛する人なのだから。
「……しおん?」
「はい。詩音ですよ。かいくんの大切なお姫様ですよ」
天草詩音。16歳。花の女子高生である。
彼らは家が隣同士&親同士の付き合いが仲がいい&赤ちゃんの時からずっと一緒にいる関係なので、親同士の約束であるが、婚約者という形になっている。
彼らは互いに愛し合っているのでぶっちゃけもう婚約通り過ぎてはよ結婚したいと思っている。
「……そっか、今日も可愛いよ、詩音」
「はい。今日も変わりなくかわいい詩音ちゃんですよ」
海はのそりのそりと起き上がりと、詩音は1寸のタイムラグもなく海へと抱きついた。
「んー……カイニウム摂取中……」
「……それ、毎回思うけど意味あるの?」
「あるよ!詩音ちゃんにだけ有効な元素番号119番のカイニウム!」
「そっかぁ。それは大発見だね」
「詩音ちゃんにしか効果が認められないから正式には発表されてないのです」
「そっかぁ」
寝起きで殆ど脳が寝ている状態で詩音への相槌を返す。なにやら詩音の頭の中ではちょっと独特な詩音ワールドが形成されているようだ。それがカイニウムとやらが摂取されたからどうかは誰にも分からない。
「よっこいせ」
詩音が抱きついたまま海は立ち上がる。必然的に詩音もそれにつられて立ち上がるので、先程までほっぺた同士が合わさるチークキス状態から、ズルズルと下がり、海の顔の少ししたら辺に落ち着いた。
「おはよう詩音」
「うん!おはよう!かいくん!」
これは、二人の日常的な朝のシーンである。
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