正岡さん登場!


 四季岡ファミリアについて調べていた俺達は、鹿児島県にある旅館にやってきた。


 ここに先代のリーダー・正岡さんがいるらしいのだが……。


「てっきり和風と思い込んでいたけど、洋風のホテルなんだね」

「ああ、ちょっと意外だな」


 この街はお世辞にも都会というところではなく、少し移動するだけで山の中に入ってしまうような立地だった。


 だが中心部にはいくつも店が並んでおり、比較的住み心地の良さそうに見える。


 正岡さんがいるという旅館は、そんな街の片隅にあった。


 旅館に入った俺達はロビーにいた受付の女性に訊ねてみる。


「すみません。この旅館で働いている正岡さんという方を探しているのですが……」

「正岡……ですか? 少しお待ちください」


 すぐに女性は電話をして対応をしてくれた。

 どうやら正岡さんが来てくれるようだ。


 しかし受付の女性は電話を切ると、目を泳がせながら苦笑いをした。


「あのぉ~、お客様……」

「はい?」

「正岡はじきにやってきますが、なんと申しましょうか……、接客の方はあまり得意ではないので……」

「?」


 ……なんか、嫌な予感がする。


 チラリと結衣花を見ると、『いつもの事でしょ』と言いたげな表情で肩をすくめてみせた。


 そういえば俺って、クセの強い奴ばかりと会うんだよな。

 なんでだろ。類は友を呼ぶというが、まさか俺もクセが強いとか?

 はっはっは、まさかだよな……。


 しばらくロビーにあるテーブルに座っていると、年配の女性がキビキビと勢いよく歩いてきた。

 そして俺の前に『ズガンッ!』と勢いよく座る。


「あんた、誰?」


 おそらくこの人が正岡さんなんだろう。

 年齢は六十歳前後か。


 表情や行動がシャキッとしているので、年齢よりも若い印象を受ける。


 てっきり男性と思い込んでいたので、女性だったのは意外だ。


「初めまして私は笹宮です。横にいるのは蒼井に楓坂です」

「どーも。あ、せんべい食べる?」

「いえ……、大丈夫です」

「そう? うまいのに」


 正岡さんはポケットから取り出したせんべいの袋を開けて、バリバリと食べ始めた。

 すげぇ豪快な人だ……。


「で、なんなの?」

「四季岡ファミリアのことはご存知でしょうか? そちらのお話を聞きたくてやってきたのですが……」

「四季岡ファミリア? ああ、秋作の坊やに丸投げしたアレのこと?」


 秋作さんって確か四十代だよな。

 そんな人を坊や呼ばわりか……。


 すると端に座っていた楓坂が会話に入ってくる。


「私、その秋作の娘なんです」

「……ふぅ~ん。確かにどことなく雰囲気が似てるねぇ」

「お父様が本当は何をしようとしているのか知りたいんです。教えてくれませんか?」


 正岡さんは楓坂をジッと見つめてからせんべいを噛み、そして受付の女性が持ってきたお茶をグビグビと飲んだ。


「はぁー、しょうがないね! いちおう言っとくけど、私はそんなに詳しくないよ」

「じゃあ……」

「待ちな」


 てっきりこのままスムーズに教えてくれるのかと思ったが、正岡さんは待ったを掛けた。

 そしてニヤリと悪だくみを考えているような表情をする。


 知ってるぞ、この目。

 こういう目をする人は大抵とんでもないことを言うんだ。


 まさか鹿児島まで来て、こんな目に合うなんて……。


「教えてやる代わりに勝負しようじゃないか」


 ほれ来た。おいでなすった。

 めんどくさいパターンだよ。


「勝負ですか?」

「そうさ! 私に勝ったら、知ってることを何でも話してやるよ。その代わり、負けたらこっちのいう事を聞いてもらう。それでどうだい?」


 たぶんその勝負というのは正岡さんに有利なのだろう。

 こういうのってズルくない?


「……ちなみに、どんな勝負ですか?」

「ネトゲのガンシューティング。最近ハマっててさ、一緒に遊べる同士を探してたのさ。へっへっへ!」


 この人……、本当っにクセが強いな……。

 だけど、選択を間違ってしまったようだ。


 なにせこっちには、ガンシューティングゲームがメチャクチャ上手いやつがいる。


「結衣花、いけるか?」

「うん。たぶん余裕だと思うよ」

「すっげぇ心強い」



■――あとがき――■

いつも読んで頂き、ありがとうございます。

☆評価・♡応援、とても励みになっています。


次回、約束された勝利のゲーム!!


投稿は朝7時15分。

よろしくお願いします。(*’ワ’*)

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