能ある鷹の爪の鉄

2Bテータ

エピローグ的な?

01 入学式

01 入学式


制服の襟を正しながら少し緊張気味に自転車を漕ぐ。

彼の名は松本 鉄。


今日、英知学園の入学式を迎える高校生である。



「よっ!!」



そんな彼の横に並んできたのは小学校からの腐れ縁である

山崎 工兵。



「よう、工兵。 元気そうだな」


「あたりまえだろ~!! 鉄は緊張してるのか?」


「まあ、高校の入学式という一大イベントを控えているからな」



そんな他愛もない話をしていると、工兵がとある質問をする。



「かわいい子いるかなー?」


「わからん、どっちでもいいだろ」


「お前! かわいい子がいたら俺の学園生活がバラ色n……」


「大丈夫だ、たとえいたとしても

お前を好きになることはまず無い」


「なんでだよ!!」



そんな話をしながらも鉄は警戒をする。


(もしそんな子が居たとしたら、関わらないようにしないとな……)


鉄はとある事情によりあまり目立つことが好きではなかった。


そこで、もし美人な子と仲良くなどなったりしたら

それこそ男子たちの反感をかい、

いろんな意味で有名人になってしまう。


そんなことを考えながら鉄たちは入学式へと向かった。








無事、学校へたどり着きお互いのクラスへ向かう。


クラスは数日前に郵送されたプリントに書いていた。


(一組か……)


因みに、工兵は二組である。


教室に入り、自分の出席番号の席に座る。


特にすることが無いので、担任がくるまで読書を始める鉄。


その時、少し離れた所から鉄を眺める少女に鉄は気付かなかった。








しばらくすると、担任が教室へ入ってくる。



「よ~し! 早速自己紹介するわよ~!」



かなりハイテンションの人のようだ。


年齢は20歳前半ぐらいに見える。


(新任の教師なのか?)


鉄の予想は当たっているようで、少しぎこちなく

ホームルームが始まった。


新任の教師は「やけに厳しい人」と

「規則がゆるゆるな人」の差が激しい場合が多い。


(まあ、様子見かな)


鉄はどちらか見定めるためようと考えていると、



「じゃあ、出席番号一番の井上くんから!」



相変わらずのハイテンションで担任は続ける。


(あっ、担任の自己紹介聞くの忘れてた……)


鉄がそんなことを考えている間も

次々と自己紹介が行われていく。


その途中で、



「出席番号八番!! 桜井 加奈子です!!

よろしくお願いします!!!」



始めは元気な女子の自己紹介だと思っていた。


だが、彼女は自分の自己紹介が終わると

いきなり鉄のほうを向き



「よろしくね!!」



と言ってきた。


決して席が近いわけではない。


さらに彼女はかなり見た目がかわいい子だった。


当然クラスの視線が突き刺さる。(特に男子の)


対する鉄はひきつった笑顔でその事実を受け止めるのだった。


(いきなりこんな目立ってどうするんだよっ!!

てか、誰だよあの子!)


心の中で全力で叫ぶ鉄なのであった。


こうして、松本 鉄の高校生活が始まった。

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