06 プリンセス、最速で身バレする

「すばらしいわ。ここに来て。初めての男性と、好き合うなんて」


「私の話を聞いていましたか?」


「あなたは素晴らしい人です。私のことを信じてくれて、好きといってくれて。コンビニで、肉まんを買ってくれて」


「もうすこし、その、お試しになったほうが」


「あなたは。さっき、見合いがいやだったと言いましたよ?」


「あ、ああいや。ええと」


「アポネスで、見合いを?」


「見合いというか、結婚を勝手に決められちゃいまして。それがよりによって、位のとても高いかたで」


「もしかして」


「はい。プリンシア エイス。この漫画の登場人物である、アポネス国の次期女王です」


「わたし」


「え?」


「あ、ああ。いえ。なんでもないわ」


 このかたが結婚相手だったのか。黙っておいたほうがいいかもしれない。


「そういえば、あなたのお名前をお聞きしていなかった。私はヒノウといいます。お聞きしても?」


「わたしは、プリンシア エイスといいます」


「え」


「あ」

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