九月二十六日 本を受け取りに三宮へ

九月二十六日 土曜日 晴 


 前回、連休最終日の火曜日に売り切れて無かった為に発注していた本の受け取りに本屋へと行った。


 本屋は賑わっていたので中々店員さんに声を掛けることは出来なかった。その間に息子は目的の本の棚へ行き本が無いことを確認し、報告しに戻ってきたりと忙しそうだ。ようやく店員さんを捕まえる事ができたので名前と本のタイトルを言うが、目的のものは無いと言われたので発注メールを再確認すると三宮店で発注を掛けていた。


 息子が楽しみにしていることもあり三宮へ本を取りに行くことにした。妻はこれから美容院へ行くということで二人で向かうことに。そういえば二人っきりで電車に乗るのは初めてかもしれないと私は少しテンションが上がっていた。息子も一番前の車両に乗り線路の風景を見ることが出来て満足げだ。


 電車を降り、目的地へと脇目も振らず向かったが、以前通った道を通ると憶えているらしく、「あの時に…」と説明をしてくれる。こういう会話が楽しい。


 初めていく本屋なのに早く本を受け取りたいのか率先して案内してくれる息子。目的のレジカウンターまで難なく連れて行ってくれた。確かに行き場所は間違ってない。不思議だ。レジでは取り置きの受取に少し手間取ったもののなんとか欲しかった本を手に入れ、どうやって家に帰ろうかと悩む。


 センター街を三宮駅へと歩いていると、もしかしたら息子にとっては初めてのセンター街かもしれないので好奇心からだろうか、突き当りまで歩きたいという。突き当りはフラワーロードと呼ばれる南北の道路だ。もちろん承諾し突き当りまで歩いた。息子はセンター街の風景が気になるのだろう、吊り下がる広告や店舗の看板を見ては「見たことがある」とか「綺麗ね」とか話をしてくれる。


 帰りは阪神電車に乗って帰った。これまた息子にとって初めての経験だ。電車の一番うしろに乗り遠ざかる風景を見ていた息子が不安げに言った。


 「ちち、本当におうちに帰れるの。」


 初めての風景、遠ざかる風景が不安に思ったようだ。駅に近づき、見たことのある風景が近づいてくると安心したようで、近くで遊んで帰りたいとせがまれた。疲れと足がしんどいこともあり、たい焼きを買って帰るということで我慢してもらった。

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