九月九日 久々のスーパー
九月九日 水曜日 曇時々雨
久々に徒歩で買い物に行くことにした。帰りはバスを使うのでさほど歩数も抑えることもでき問題ないだろうと思った。目標は五千歩以内で家に帰ってくることだ。
痛風になってはや二ヶ月あまり。久々の道のりは間が空いていたにも関わらず風景はさほど代わり映えがしなかった。曇り空も風景の単調さに力を貸し変化に気づかせないようにしているようにも思えた。何か新しい発見があるわけもなくいつものようにスーパーへと向かった。
店内に入ると痛風前のことを鮮明に思い出し、どこか気恥ずかしい気分になってくる。店員さんに顔を覚えられていることもあるのだろう。自意識過剰気味にあたりを見渡してしまう。これでは不審人物だ。
野菜は思ったよりも安くなっていた。トマトの数は少ないけど色もよく美味しそうだ。梨が安い。キャベツの値段は安いわけではないが立派な大きさだ。忘れていた、一番の目的でもある豚肉の切り落としを買わなければならない。次第に以前どうしていたのかを思い出していく。
しかしレジで油断をしてしまった。以前は会計の際にレジで袋詰をしてくれていたが、感染症対策でお客対応になったことをすっかり忘れていた。
「お肉はこの袋に入れてください」と私。
「お客様にはあちらで詰めてもらうことをお願いしています……」
「あ、そういえばそうでしたね……」
間髪を入れず返答されてしまったのでついつい笑って誤魔化してしまった。いつもならしないような凡ミスだ。顔から火が出るほど恥ずかしい。逃げるように作業台へと向かい、何事も無かったように野菜を袋へと詰めた。
これから他に八百屋とスーパーの二店舗を周ることになるのだが移動はバスだ。少し蒸してはいるものの涼しいので歩いて行きたいところだが、足に爆弾を抱えている身としては難しい。非常に残念だ。
バスに乗り、しばらくすると雨が降ってきた。歩かなくて良かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます