真剣を持った相手に素手で勝つ方法


江戸時代初期の頃から約250年もの間、琉球王国は薩摩藩に支配されていました。

薩摩藩は琉球の民が反乱を起こさないよう武器を取り上げました。


そんな時代背景があったせいか、空手は武士の剣術に素手で対抗するための武術だという説があります。


筆者も最初はあまりにも荒唐無稽な話だと思いました。どう考えても、真剣を持った相手に素手で勝つなど現実的ではありません。


相手は素人ではありません。

真剣の扱いに長けた剣術家です。

それも幕末京都を震撼させた、あの薩摩示現流の遣い手です。


刀を抜かせてしまったが最後、勝利はおろか身体に触れることすら絶望的です。

そう、刀を抜かせてしまったら……


先人たちは、ひとつの答えに行き着きました。

『先手必勝』

抜く前に倒すしかない。


ですが、それとて簡単なことではありません。

剣術には、抜きながら相手を斬りつける抜刀術があります。スポーツ剣道とは違い、不意打ちにも対応しているのです。

一撃で倒そうと顔面や腹部を狙いにいっては間に合いません。


ならば、もっと速く。もっと短く。

最速最短で手が届くのはどこか?


刀の柄。


まずは柄を押さえ、抜刀を封じる。

その上で打つ。


それが、真剣を持った相手に素手で勝つ方法です。



もちろん、これは机上の空論のようなもので、実際に上手くいく保証はありません。

そういう説もあるというだけの話です。


ですが、この説を裏付ける技が現代空手にも残っています。

那覇手系の型にはよく出てくる「押さえ受け」です。

押さえ受けはいったい何を押さえるのだろうと長年疑問に思っていましたが、刀の柄という解釈なら自然な気がします。


そして、その押さえ受けを決めるのに何より大事なのが、

「先手必勝」です。

兎にも角にも、相手より先に動き出さなければ剣術家に素手で勝つことなどできません。


空手は先手必勝です。


…あれ?

「空手に先手なし」じゃなかったの?


矛盾してますね。

それについては、また改めて説明したいと思います。



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