第386話 葵危機迫る!

「葵!待っていろ

必ず 俺にかけられている呪いを解いてみせる!

しかし・・時間がない あと数時間で

俺は 完全に自分を見失い 別人に・・


とんでもなく残虐な父親に

なってしまうだろう・・・


それだけは

避けなければならない・・


とにかく 村人達に

見つからないように 

慎重に行動しなくては!」


ダンは早朝に 葵を家に置いて

ガデム村に出発したのであった



「父さん!

無事に 帰ってきてね!

私 祈っているから!!」


葵は この数カ月 

リムラ村で発生した

多くの奇怪な出来事を 思い返していた


「私の大好きな リムラ村が・・

何故?このように廃村化してしまったのだろう・・・


ただ強く不安に感じる事は・・

とんでもない悪の力が 働いているという事・・・


私自身 突然 暗黒の夜が訪れ 

光が遮断されたような

不吉な感覚が常にある・・


一体何が起こっているのか?

そして 私と父さんの未来に 

どのような出来事が 

待ち受けているのだろうか?


葵はここ数日間 

ひどい暴力を受けた事もあり 

泣きたくなるような 痛みと寂しさと

孤独さを強く感じているのであった


それだけに 遠い昔 微かに記憶する

優しい温もり 私を包む存在がいた事を 

懐かしく感じるのであった

記憶はないけれど 

私にとって大切な存在がいたような・・・誰だろう?


父ダンと私は血は繋がっていない 

葵はその事実を知った時 悲しくはあったが

不思議な事に 特別な使命と目的をもって

生まれてきたような 強い確信があった


しかし リムラ村の異変を機に

私の中の 大切な何かが 

侵され始めているように感じる


これまでどんな嫌な事があっても

立ち直る力が 働いていた

神様を 意識する事ができたのだ!


しかしこの大切な繋がりが 

日に日に狭くなり

光りが見えず・・

閉ざされてきているように 感じる

どうしてだろうか?


そして 父さん自身が豹変してから

より一層 光が閉ざされていき


私は 生きていく事が辛すぎて

生まれてはじめて 

惨めさを感じるようになっている


人は何の為に 

生きているのか?

分からなくなってきたのだ・・・


葵は 全身が痣だらけになる痛みよりも

心が 深く傷つきはじめ

少しづつ 病みはじめているように 

感じずにはおられなくなった


「父さん・・無事に帰ってきて」


その時だ!

ベルゼブルが葵の家に 

近づいてきており

危険が迫り来るのであった

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る