第278話 葵巫女VSアポリュオン①

「赤い星」総督アポリュオンは

葵巫女の背後に周り

神魔具「赤星劔」を振り上げ突き刺したが

未来予知ができる巫女は

瞬時に察知しかわす事ができた・・と思っていた


しかし僅かにカスリ

右わき腹を裂傷し

巫女の血が数適・・血に落ちた


「あなたがアポリュオン!?」


葵巫女はひどく驚いた


先程まで戦っていた

ゴモラは歴戦の戦士であり

身長2メートル

青銅の兜をかぶり鱗綴じの鎧をまとい

青銅の胸当て、足には青銅のすね当て

背には青銅の投げ槍を負い

槍の柄は機織りの巻き棒

逞しい体格の上に

魔具「赤馬」により

半獣化しており


少女である葵巫女の

10倍の体格差があった

ゴモラの威圧は凄まじく

巫女でなければ 

どのような戦士であっても

戦意喪失していた事だろう


しかしアポリュオンその人は

予想外の人物であった


見た目は普通の少女

葵巫女と姿形が酷似していた


しかし明らかな違いは明白であった


葵巫女は巫女として

妖精族の光のオーラを放ち

神の偉大な加護があり

巫女としての威厳に満ちている


しかしアポリュオンは

悪根の無限の闇を放ち

魔王の支配下にあり

見る者を一瞬にして硬直させ

魂を吸い取られるような冷酷さがあり

『永遠の死』を連想させる


しかも『竜頭の指輪』から流れる

魔力は凄まじく

王都を全体を覆っていた

第3の神具『聖光の盃』による

聖なるバリアが打ち破られそうになっている


「ここまでの魔力が・・」

葵巫女は驚愕し

『聖光の盃』の効果を倍増させ

民を守るよう神覚醒の力を発動させた


「巫女よ!

話をしようではないか・・」


「私の名は アポリュオン

初代巫女エヴァの双子の妹だ・・」


「初代巫女様の妹!?

(初代巫女様は・・2000年前に・・

一体どういう事なの???)


「何故?

どうして巫女様の姉妹である

あなたが・・赤い星の総裁などを・・」


アポリュオンは葵巫女の

問いを打ち消すと

悪根の魔力を強めた


「巫女よ・・お前は父から

酷い仕打ちを受けてきた筈だ・・


父を殺したい程

憎くはなかったか?

愛情を注がれず・・殴られ

罵倒され・・お前の顔を何度も踏みつけた

多くの血と涙を流したことを忘れたのか?


この世界は不条理だ

正義を行うことなど 理想に過ぎず

人と人は憎しみ合うもの 恨み 蔑み

親が子を愛することなどは・・幻想に過ぎない!


巫女よ!

お前は一瞬でも感じた事はないか?

父を殺してやりたい!と!!」


アポリュオンは

『竜頭の指輪』の魔力をさらに強めた


もしこの瞬間 葵巫女が

一瞬でも過去のトラウマを回想し

過去に抱いた憎しみを思い出していたなら

僅かに生じた罪の心が増幅し

巫女の力が消失し

アポリュオンの魔力に完全に

飲み込まれていた事だろう


しかし葵巫女の心底には

父ダンへの憎しみは消失しており

「愛する心」しか存在していなかった


「私は父を赦しています!!!

そして心から! 

愛しています!!」


葵巫女は大声で叫び

アポリュオンの『竜頭の指輪』の魔力を打ち消した

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