第244話 父ダンの手紙②

「父さん!

私はあなたを今は。。恨んではいません!

しかし当時、私は幼く・・現実の苦しみに

耐えられなく・・あなたを恨み

死にたい気持ちになりました・・


しかし今の父さんは

本当の父さんではない!

必ずいつか優しい父さんに戻る筈!

私はどこかでこの希望を捨てきれずにいた・・


しかし全て

起源の存在:神のご計画の中で

許された出来事だったと

今ではそう確信しています!


あの時の地獄のような苦しみは

とても大きなマイナスに思えるけれど・・


今の私は巫女として

弱さのある人達の心を・・痛みが理解できる

そして救いの手を

差し伸べたい気持ちで一杯になる・・・

この『愛の心』は

神が私に与えてくださった賜物なのだと・


葵は手紙の続きを読み始めた


◇◆


「これからは巫女様と

呼ばせて頂きます


知っての通り

葵巫女様と私は

血の繋がりはありません・・


巫女様の母君はソルナと言い

葵巫女様を身籠っている時

リムラ村の山中で出会いました


出産直前で

すぐに村の助産婦を呼び

激しい陣痛があり


意識朦朧とする中

ソルナは叫んでいました

「この子は・・最後の希望

必ず生んでみせる・・・神よ

どうか助けたまえ・・」

必死に叫ぶソルナは

行き絶え・・絶えでした・・・


しかしこれまで

見た事がない星の輝き

小屋を煌々と照らし神の臨在が覆い

天使が見守っているような

感覚がありました


そして夜が明けた早朝

ついに葵巫女様が

誕生されたのです!


あの時光景は

天使が舞い降りてきたような

可愛い幼子が

神から愛されている存在である事は

誰の目にも明らかでした!


葵巫女様は

輝いておられました!

そして右腕に不思議な腕輪をさえていた

生まれたばかりなのに?

これは何だ?と思いましたが


いつか葵巫女様が

成長された時、お渡ししようと

我が家の地下の収納庫に

密かに隠しております!


もしかしたら失踪した母ソルナに繋がる

大切な代物だと思います

是非捜してみてください!


「父さん!

そんな大切な形見があったなんて

今まで知らなかった!

早く手に入れたい!


母さんが生きている?


突然の告白の手紙に

葵は胸を熱くするのであった


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