第243話  父ダンの手紙①

「葵 元気にしているか?


お前と離れ離れになり

早2年が経過した


私は元気だ!

心配ばかりかけてしまい・・

本当にすまなく思っている


この2年間

お前に起きた様々な出来事を

アロン長老の従者より聞いている


葵お前が・・まさか

巫女様だとは・・・

今でも信じられない気持ちだ・・


私にとっては

可愛い娘であり・・・

今でも幼い頃の記憶が蘇り懐かしく・・愛おしい

しかし・・私が悪根の術に支配され

現実と非現実の世界の挟間を生きていた為

私がお前に行ったであろう非道の数々が

現実の世界で起こった出来事である事が分かり・・


私は・・私は・・


私は・・・・・・・・・・・


私が・・・犯し・・た罪は

あまりにも重い・・・


どうか・・・

愚かな・・・父・を

許し・・て欲しい!


リムラ村が「赤い星」組織に襲われてから

私の一切の記憶が失われており・・


ただ悪夢の中で

葵が涙を流し・・


『父さん ごめんなさい・・

もう赦してと・・・叫んでいる姿が。。』

まさか!現実の世界で起こっていたという事が

今でも信じられないでいる・・


私のこの手が

お前に手をかけていたなんて!

痛かっただろう・・辛かっただろう・・

心も身体も。。ズタズタで

お前を酷く苦しめてしまった・・


私は取り返しのつかない

過ちを犯してしまった!

本当に!本当に申し訳ない事をした!

どうか愚かな父を許してくれ!!!


(繰り返し謝る父の言葉に

葵の胸を締め付けていった・・

≪もう恨んではいません≫


記憶がなく悪根の呪術に

操られていたとはいえ・・愛する娘に

手をかけてしまった事実は

決して許される事はない・・大きな過ちだ!!


本当に申し訳なく思っている!

(何度も繰り返される

謝罪の文字は父の涙で滲み

父ダンの心からの懺悔の

気持ちが犇々と伝わってきた)


◇◆


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