第193話 白髭じぃサイカとの出会い②

葵巫女はラッセル伯と

守護者ソルカと残り

彼らから現地の情報収集を図る事にした


「お嬢ちゃん!

名前何ていうだい?」


「葵よ!おじさん!」


「葵ちゃんかい?

良い名前だね!


ワシにも昔娘がいたが・・・

随分前に流行病で死んでしまったよ!

ショックで荒れた生活になって

母ちゃんには逃げられるし

ワシの人生は良いことなんて

ひとつも無かったよ・・・


しかし今日は

お嬢ちゃんみたいな

若い娘さんと話ができて

とても気分が良いぞ!!


市街地の若い子は

俺たちみたいな薄汚い男を嫌うし

関心持たれることはないからな!

ハハハハハ!」


「おじさんの名前は

何ていうの?」


「俺かい?

皆には白髭じいと呼ばれてるんだが

本名は、サイカって名前だ!


葵ちゃんの隣にいるのは

お父さんかい?」


「ええ!そうよ!

その隣の姉ちゃんは

どこかで見た事ある気がするが

誰だったけな?

忘れちまったよ!」


「私を忘れたのか!?」

ソルカは渋い顔をしながら

問い詰めようとしたが・・・

葵巫女に止められた


「ソルカ!

私に話をさせて!」


「はっ

はい・・」


「サイカさん!

もし願いが叶うなら

何がしたい?」


「そうだなぁ・・・

俺は人の役に立つ人間になりたい!


これまで誰にも頼られたことがない・・

もうこの歳になって

このまま死んでいくのかと思うと

堪らなく寂しくなって

酒の量が増えちまうのさ!


俺は生きてきた証が欲しい!

その実感が味わえたら

いつ死んでも良いぞ!


不思議だなぁ!

お嬢ちゃんの前で

話していると

遠い昔の純粋だった

少年の頃の自分を思い出すよ!

涙が出てくるわぁ〜」

サイカの額から大粒の涙が・・


「サイカさん

どうか力にならせて下さい!


その為にこの街の事を

もっと知る必要があるの

だから明日サイカさんと

友達を沢山集めて下さい!


身近な問題から

解決策を提案したい!

私は皆さんに夢や希望を抱ける

人生を取り戻して欲しいのです!」


「分かったよ!

お嬢ちゃん!

凄い事を云うのだな。。


あんたは不思議な子だなぁ!

人の心を開かせる

天使みたいな存在に感じるよ!


それに酒がすっかり抜けた気がする

俺はもう酒は飲まない!

約束するよ!お嬢ちゃん」


「ありがとう!

私もお力になる事を約束します!」


「ありがとうよ!!

よっこらしょっと!


では家に帰るとしよう!」

サイカはよろけながら立ち上がると

ヨタヨタとふらつきながら

帰路についた


「葵巫女様

どうしたあのような者を・・」


「ソルカには感じませんか?

あの人も助けを必要とする方です!


それに将来この町を建て直す

必要な人材です!

私はそう感じるのです!!」


葵巫女は確信を持って

断言するのであった!

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