第182話 ラックとエルサの初デート

「村長さん

お世話になりました!


お礼をしたいのですが

これを受け取ってください!」

ラッセル伯は銅貨20枚を手渡した


「こ・・こんなにかい?」


「村長!

私が薬草捜しを助けて下さって

感謝しています!

このお金で是非

壊れた屋根を直してください!


私達も半年後、旅の帰りに

このガゼノ部落に寄るかもしれないので

その時も泊めてくださいね!」


(えっ!また泊まるのですか・・・)

ラッセル伯やアーバス隊長以下

兵士隊は心の中で呟くのであった・・


「葵ちゃん!

いつでも泊まりにきてくれ!

今度来る時には、もっと快適な

客室を用意しておくよ!


何分、貧乏な部落だからな!

作った野菜もなかなか売れなくて

スンツヴァル王都の商人達と商売ができたら

この村も豊かになるのだが

俺たちは相手にされないからなぁ・・・」


「村も大変そうですね!

何か力になれたら・・・


そうだ!村長さん

ちょっと待っていてね!


父さん

紙とペン貸して貰えますか?」


「ああ・・

荷馬車に入っていると思うが」


「借りますね!」

葵は、荷馬車に行き

手紙を書いて、最後に自分の署名を書いた


「村長さん!

私の知り合いで

スンツヴァル王都の使徒で

サラとカムイ夫婦が

ガデム村に派遣されているのだけど

近隣部落の再開発に従事しています!


ガデム村とこの村は近いですよね!

この手紙をもって

一度訪ねてみてください!

きっと力になってくれますよ!」


「本当かい?

いったいお嬢ちゃんは何者だい?」


「私達は顔が広いだけですよ!

では出発します!

お世話になりました!


村長さんお元気で!」


葵巫女一行は

ガゼノ部落を出発し

これから10日かけて

大陸ビジョンを横断し

最北部のロック港に向かうのであった!


◆◇


その頃

MIKOハウスの住民達は

少し憂鬱な日々を過ごしていた


「葵巫女様

お元気かな?


今どの辺りまで

行かれているだろう?」


「エルサ王女!

一昨日出発したばかり・・・


まだ国境付近ではないですか?」


「そうですか・・・」

エルサ王女は浮かない表情で

一日窓から外を眺め

葵巫女達と同行できなかった事を

また引きずっているようだった!


(エルサ王女元気がないなぁ・・

何か力になれないかなぁ・・・)

ラックは思いきって声をかけた


「エルサ王女!

お願いがあるのですが・・

聞いて貰ますか?」


「何?ラック!」


「実は

今度サッカーの試合があるんだけど

カッコいいユニフォームを作りたくって

アニーと相談しているところなんですが


MIKOシティにある

アパレルショップ

ルーベン店長のお店まで

付きあって貰えませんか?」


「えっ!私と?」


「ええ!」


「3人で行くの?」


「ダメですか?」


「アニーは今部屋にいるのよね!

この話は知っているの?」


「いえ・・まだ話してないけど

もし一緒に行ってくれるなら

今から声かけてきますけど!」


「待って!!

そういう意味じゃなくて


ラック!

私と二人で行きましょう!」


「えっ!

二人でですか?」


「私と二人じゃ嫌なの?」


「いや・・・嫌ではないですけど・・・

女の子と二人で出かけるなんて

恥ずかしいなぁーと思って・・ハハ」


「いいじゃない!

私は気にしないわ!

それにラックと出かけられたら

元気が出そうな気がするし


今から一緒に出掛けましょう!」


ラックはエルサ王女に手を引かれ

エルサ王女の執事に馬車を出させて

MIKOシティに向かうのであった!


(凄い行動力だな!

でもエルサ王女と知れたら

大騒ぎするような・・

心配だなぁ・・)


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