第109話 ウエスト・エンド地域

■□■◆◇


クリス王子達が向かった先は

市街地郊外の貧民層が暮らす

ウエスト・エンド地域であった


住むところがなく路上で横になり

飢えに苦しむ人たちが大勢いた


「噂には聞いていたが

ここまでとは・・・」

王子はショックが隠せなかった


クリス王子とエルサ王女は

持参したパンを

執事や兵士たちにも手伝わせ

一人づつに配りはじめた


「王子様と王女様が

どうしてこんなところに?

王室の方からパンを頂けるなんて・・・

もったいない・・・

でもありがとうございます!」


「ごめんなさい!

知らないでは・・

すまさせれないわね。。

でも今はこんな事しか

出来ないですけど

このパンを食べて

元気を出してください!」

(エルサ王女は涙ぐみながら声をかけていった)


「ありがとう・・・王女様!」


エンド地域には

30名近い人が住んでおり

身よりの無い人

怪我や病気で歩けない人

中には酔っ払いも数人いた


その時だ!

酒に酔っぱらっていた

老人が大声で叫んだ!


「何しに来た!

ここはあんた達が来るところではない!

パンなどいらない!

とっとと帰ってくれ!」


「何だと!

王子様と王女様に

対して何と無礼な!!」

兵士のひとりが老人を捕まえようとした


「やめろ!!

乱暴をするんじゃない!!!」

クリス王子が叫んだ!


「申し訳ない!ご老人

部下が失礼なことをした・・・

我々はこれまで慈悲の手を差し伸べず

申し訳なく思っている!

すまないが、少し話をしたいのだが・・・」


すると老人は一瞬沈黙し

身の上話を聞かせてくれた


「そんな事があったのか・・・

我々王室と一部の貴族たちが

利益を求め、横暴なふるまいをし

あなた達の生活を圧迫し

追い詰めてしまっていたとは・・・

本当にすまない事をした・・」

クリス王子は

深々と頭を下げて謝罪した


「・・・・・・・・

 頭をお上げください!クリス王子!

どうやらあなたは

他の皇族、貴族たちとは違うようだ!

「心をお持ちだ!」

わたしこそ失礼な発言をした事を

お赦しください!」


「名前を教えてもらえるか?」


「私はサムエルと申します!」


「サムエル?

どこかで聞いた名だが・・・

もしかしたら!あなたは!」


「上級貴族でありながら

不敬罪で王都議会から追放された

サムエル侯爵ではないか?


「・・・・・・・」


「どうしてこんな所に!?」

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