第95話 眠れぬ夜

その日の晩クリス王子は

今日起きた衝撃的な出来事が脳裏から離れず

眠れぬ夜を過ごしていた・・


「私はこの国の皇太子であるのに

何と情けなく・・・

何と小さな器であろうか・・


今回葵巫女様とラックは

貴族マフィア達に臆せず説得をし

改心まで導いた!


しかも貴族マフィア達は自ら投降し

しかも説得にあたったラックに敬服し

主従関係の契りまで

結んでしまったではないか!?


ラックは私より

2つも年下であるのに

私以上の大きな器に感じた!


実際貴族マフィア達は

あとから私が王族である事を

名乗り出たのにも関わらず

私をクリスだと認めず・・


ラックこそ王族の品位があると!

言っていたではないか・・・」


クリス王子は

ラックと葵巫女に対し

敬服以外・・言葉が見つからなかった!

そして心の底から尊敬していた・・

しかしその反面嫉妬心もあり・・・


しかしそれ以上に

特別な感情すら抱いてしまう・・


葵巫女様は一生をかけてお仕えする存在!

そしてラックは一生をかけて

友人として共に人生を歩みたい存在!

心からそう思えた!


「彼は・・私を友ととして

認めてくれるだろうか・・

少し戸惑っていたようだったが・・


それに妹のエルサのあの様子

完全にラックに惚れている様子だった

皆でショッピングに行った時

明らかにラックを特別視し

彼に気に入られるように

必死に振舞っていたではないか・・


もしや2人は将来・・


しかしラックは

妹に好意を抱いているようには見えなかったが・・

もしや他に好きな人がいるのでは?


まぁ・・良い


それより私自身

この国の皇太子として

皆に認められる存在になりたい!


私が王族の身なりをしていなくとも

ラックのように、秘めた魅力

オーラを身に付けるようになるいは

一体どうしたら良いのか・・・


クリス王子は

これまで王宮の温室環境の中で育ち

そこそこ優秀であり

周りから丁寧に扱われ

自分は特別な人間だと思っていた・・・


しかし妹エルサと同年である

葵巫女様とラックが

周りにいる大人たち

博識者と言われるどの教師たちよりも

別格に偉大な存在に見えてしまい・・・

あまりにも衝撃的であった!!


自分とはまるで次元が違う・・・

これが巫女様という方なのか!

巫女様は数世紀に一度現れる

伝説の救世主なるお方!

父アダム皇帝より偉大なお方であるから

自分が敵う筈はない!それは分かる


しかしラックは

普通の平民出身ではないか?

何故彼に・・あのように秀でた力があるのだ・・


まるで分からない・・

とにかくシェアハウスが完成したら

私とエルサはラック達と

同居する事になるのだから

彼らの生きざまから

学ぶ事も多くあるだろう!


明日は早い

もう休むとしよう・・

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