第91話 王族の身代わり5

「クリス王子だと?

俺たちをバカにしているのか?


俺たちはならず者だが・・・

人を見る目はある!!

今目の前にいる方は間違いなく

王族の血を受けるものだ!!!

分かるのだ!!!


クリス王子とエルサ王女は

我々の要求を受け入れず

とても生意気だが

アダム皇帝を上回る覇気を感じる!!


クリス王子が皇帝だったら

もう少し真面な世になっていただろうよ!!


あんたがクリス王子だと?

笑わせるな!」


「なっ!

何をいうのだ!

私はアダム皇帝の正当な後継者

クリス王子だ!!!」


「では何故?

お前と妹のエルサ王女は

そのような平民の姿をし


お前達の身代わりに

あの方々は拷問を受け

勇敢に立ち待ってくるのだ!!


お前は口では

偉そうな事を語っているが

内心我々を恐れているだろう!

目を見れば分かる・・


しかしここにおられる

クリス王子とエルサ王女を見てみよ!

何と力強い眼差しであろうか!


どちらが王族が

誰の目から見ても明らかだ!


さぁ!臆病者は

引っ込んでおれ!

これ以上、ふざけた事を言うなら

痛い目に合わすぞ!!!」


「なっ・・・」

クリス王子は反論できず

彼らに侮辱された事よりも

ラックの方が王族として

毅然とした態度で立ち待っている姿に


己を恥じ・・

その場に立ち尽くしてしまった

(私は名ばかりの王子だ・・)


「おい!お前たち!

クリス王子と名乗る王子様も

縄で縛りつけておけ!!!」


■□■◆◇


「クリス王子なぜ?

飛び出してきたのですか?」


「申し訳ございません!

葵巫女様をお助けしようと思ったのですが。。

お力になれず・・申し訳ございません」


「クリス王子に

万が一の事があったら

アダム皇帝に顔向けができません

怪我をしないように 

他の人々と一緒に静観していて下さい」


「巫女様・・・」


ラックは、クリス王子の横で

怯えているエルサ王女に

近づき声をかけた


「エルサ王女!

ここは私と葵巫女様にお任せ下さい!

ご安心してください!

必ず解決してみせますから!!」


「ありがとう・・・ラック・・」

エルサ王女は涙ぐみ

震えながらも・・ラックの力強い言葉に

安心したのか・・僅かに笑顔を見せた


「仕方ありません!!ラック!

私達で彼らを説得してみましょう!!」


「えっ?

どうやってですか?」

クリス王子が叫んだ!


「クリス王子!

先程、円形球技場で

8000人を救済する為に

演説をしたのです!


神が言葉を授け

勇気が与えられ

大胆に語る事ができました!

彼らにもきっと通じる筈です!!

葵巫女様!

私にお任せ下さい!」


「分かりました!

ラック!あなたにお任せします!

さぁ!共に神に祈りましょう!!」

(店内にいた人たちも葵巫女の声掛けに応じていった)

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