第85話  巫女革命

「ドルモンド候

円形球技場に集まった8000人に

巫女としての覚悟を

伝えたいので、皆を座らせ

静粛にさせて下さい!」


「承知致しました!」


葵巫女は

先程ラックの提案で

多くの借財を返済する為の

資金が集まった事を

皆に伝えると


彼らは驚愕し

円形球技場は歓声が響いた

多くの者達が涙を流し喜び感動していたが・・

本当にそのような夢のような事が

現実に起こるのか?と怪しみ

信じられない者も複数いた


そんな彼らに対して

葵巫女はこれから始めようとする

壮大なビジョンを語ると

彼らをさらに驚かせる事になった


「皆さん!聞いて下さい!

これから皆さん自身が自立した

生活を送れる為の重要なプロジェクト

『MIKOプロジェクト』を発表します!

良く聞いてください!!」


「MIKOプロジェクトだって?

それは何なのだ??」

会場は葵巫女の言葉を聞き洩らすまいと

言葉を止めて静粛になっていた

アダム皇帝やドルモンド候ですら初耳であり

葵巫女が何を語ろうとしているのか?

彼らは内心冷や冷やしていた


「ドルモンド候!

スンツヴァル王都の領土は

広大な自然に囲まれていますが、その特徴と

市街地の国土割合を教えてください!」


「我々が住む水源の大陸ピジョンは

なだらかな丘陵地と

スンツヴァル城周辺から続くフットパス(散策道)

市街地郊外には、大陸ピジョン最大の

渓谷と鍾乳洞の洞窟といった

豊かな自然が国土の約7割を占めております!

つまり都民が住む国土割合は、

王宮と市街地全域を合わせても

全体の2割程程です」


「つまりスンツヴァル全国民50万人が

国土の2割に住んでおり


巫女府が所有する領土は

国土の1割の広さもあるのに

巫女府使用人や近衛師団の寄宿舎があるとはいえ

シェアハウスが完成するまでは

実質私ひとりしか住んでいない事になりますね!

これはどう考えてもおかしいです!!


「葵巫女様

巫女府領土は神聖な区域とされており

巫女様以外は、本来住むべきではないのです!

それでもシェアハウスに関しても

今回特例で、お認めした次第で・・」


「もう結構です!

私の気持ちは固まりました!!


アダム皇帝

私がこれからする提案は

かなり難解な内容です!

しかし8000人の民と

市外地郊外の部落地域に住む

2000人の人々を救う為に絶対に必要な事です!


いいですか?

覚悟してください!」


「ハハ!!」

(アダム皇帝及びドルモンド候

その場にいた王都議会の貴族達は固唾をのみ

全身の筋肉がこわばらせていた・・・)


■□■◆◇


「巫女府領土の

特別自然景観地域に指定されている

コッツウォルガに新しい町

『MIKOシティ』を作りましょう!!

素晴らしい提案だと思いませんか!?」


「葵・・・巫女様

 何っ!何を言い出すんですか!?

それはあまりにも突拍子もないご提案です!」

アダム皇帝はおもわず叫んだ!


「どこにその資金と

建設する労働力があるというのですか・・・」


(しまった!!

葵巫女様は十分な資金をお持ちだった・・)


「資金は巫女府から出します!

ドルモンド候!10000人の町を作るには

どれくらいの費用がかかりますか?」


「葵様・・・即答致しかねます」

(ドルモンド候も葵の突然の提案に

驚くばかりで、言葉を失ってしまった・・)


「巫女府には確か金貨10万枚あり

財源を使用する権限は

巫女にある!と聞きました


つまり私に全ての基金を

使用する権限がある!という事です!


それに私が巫女に就任してから

他国の信徒から捧げられた巫女基金が

かなりの額だと報告がありました


確か・・・金貨500枚」


「金貨500枚もですか?」


「新しい町建設の為に

金貨500枚に加え巫女府基金から

金貨1万枚捻出しましょう!


ラック達が

彼らの借財を肩代わりするのですから

巫女として、新しい町建設の為の資金を出す事は

当然の事ではありませんか!


ただし彼らは自分の借財を

労働力として町建設に貢献して貰います!


私は彼らに給与を払いましょう!

彼らに仕事と住まいを提供するのです!

仕事があれは、借金は少しづつでも

返済する事ができるでしょう!

勿論無利息とします


そして彼らが完全に立ち直ったその時

きっと素晴らしい出来事が起こるでしょう!」


「アダム皇帝!

あなたの名で明日

全国民に告知してください!

よろしいですね!!」


「・・・・・・・・・・・・・・

(葵巫女様は本気だ・・・

とんでもない事がこの国に。。

『巫女革命』が起ころとしている!!)

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