第76話 3交代24時間体制

◇■◇■


葵巫女が命じて

ヨーデル達を労う為の宴がなされていた時

任務途中で救出した

少女ヒナタの事が話題となっていた


(彼女の抱えている問題はあまりにも大きい・・・)


「葵巫女様!

ヒナタは心身とも深く傷ついており

助けを必要としています!

どうか彼女の力になってあげたい!」

看病していたアニーが懇願して叫んだ!


「アニー

安心してください!

彼女にはもう会いました

そして彼女の心の重荷を軽くする為に

妖精族の癒しの秘術を用い


今は、巫女宮殿の私の寝室の隣に

ヒナタの為に部屋を用意し

侍女達が 彼女の看病に手を尽くしている所です」


「そうですか?

それなら安心しました・・でも」


「アニー達の気持ちは分かりますよ・・

私が巫女として強く願うことは

この国の弱者への差別を無くす事です!」


「ヒナタが苦しんでいるのは

差別を受けての事だというのですか?」


「その通りです・・

この国は病みつつあるのです・・・

まだ数日しか経っていませんが・・

町の有力者を操り、背後で暗躍している者達の

陰謀が見え隠れしています!


弱者が命を投げ出してしまう程

追い詰められてしまう社会倫理の狂いを

何とかしなくてはなりません!!


ヒナタは被害者なのです!


彼女のように傷ついた人たちが

これ以上起こされないように

しなくてはなりません!


ヨーデル執事!

イゼベルの実のさらに詳しい調査を指示してください!

悪種の根の影響を完全に

断ち切らなくてはなりません!」


「承知致しました!」


「それから来週完成する

シェアハウスにヒナタにも

住んでもらおうと思うのですが

部屋の確保は可能でしょうか?

そして彼女が完全に立ち直ったその時

新たな入居者も迎えるつもりです!


「葵巫女様

ご存知だったのですか?」


「もちろんです!」


「流石です!葵様!

すべてをお見通しとは・・・


シェアハウスの建設は始まっており

3交代24時間体制で

早期完成を目指しているのですが

部屋数が足りないかもしれません・・・」


「ドルモンド候!

建設見取図はありますか?」


「すぐにお持ち致します!」

ヨーデル執事にかわり

シェアハウス建設に従事していた

ドルモンド候が葵巫女に

見取り図を手渡した!


「ドルモンド候!

これはどういう事ですか?

私がお願いした内容とかなり違います!

私はリムラ村にあった私の生家と同じ規模で

ベットと家具が少し置ける

ワンルームの小さな部屋を

お願いしていた筈です!


それなのにどうして

部屋がこのように大きいのですか?

他の部屋と比べ10倍はある

それにあと大きな部屋が

ふたつもあるようですが・・・」


「クリス王子とエルサ王女の部屋でございます!」


大きな部屋を希望するなら

シェアハウスに入居する必要はありません!


私は小さな部屋が良いです!

もしヒナタが住む部屋がないのなら

私の部屋を分割して

彼女の居住スペースを作ってあげてください!」


葵巫女があまりにも熱心に訴えた為

ドルモンド候は承諾した・・・

(しかしあとでアダム皇帝に

叱られることは目に見えていた

この国はすべて葵巫女様ファーストなのだから・・・)


もう一度変更が必要になりそうだ

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