第66話 有識者会議

「葵巫女様

ご気分はいかがですか?」


「大丈夫です!

サラさん

大分落ち着きました

心配かけてごめんなさい!」


「本当に良かったです!

とっても心配しましたよ・・・


私がシェフに葵巫女様の食事プランを

お伝えしておくべきでしたのに

申し訳ございませんでした!」


「あまり気にしないでください!」


「それより葵巫女様

先ほどの晩餐会でほとんど

召し上がっておられなかったので

軽食をお持ちしましょうか?」


「いえ、大丈夫です!

お水だけ頂けますか?」


「承知致しました!」


「ベアトリス 

葵巫女様にお水を!」


侍女長ベアトリスが

侍女に水を持参するよう

指示を出した!


「この水はどこの井戸の水ですか?」


「カノン地区の井戸で

ピジョン川下流水域に面しております!」


葵はコップに入れられた水を口にした瞬間

大きな声で叫んだ!

「この水は危険です!

口にしてはいけません!!」


その瞬間!!!

巫女宮殿内は大騒動になった!


そしてアダム皇帝、ドルモンド候

「黄金の羽」部隊長サムルと12軍団長達が

葵巫女の元に集結した!


「この水を用意した者は誰か!!」

何故このような危険な水を

葵巫女様にお出ししたのだ!!」


「申し訳ございません!!!」

侍女長ベアトリスは青ざめた表情をし

全身を震わせながら・・

その場に土下座し謝罪をした!


「アダム皇帝

ベアトリスをあまり責めないでください!

この水に関して毒が混入されている訳ではないのです!

しかし至急調査が必要です!!


一刻を争います!!

これ以上流行病が拡大しないように

全国民にピジョン川水域の

飲水をしないように告知してください!


それからアダム皇帝

医師団長にエスタロスの根の樹液について

書かれている医学書を集めさせてください!

今晩、調査委員会を開きましょう!

私も参加します!」


「葵巫女様も

ご参加頂けるのですか?」


「勿論です!」


「ご体調は大丈夫ですか?

まだ顔色が悪いようにお見受けしますが・・・」


「国民の命がかかっているのです!

私の身は心配いりません

少し休めば大丈夫です!」


「招集を急いでください!」


「ハハ!!」


□◆□◇◆


その晩

有識者が集まり

緊急調査委員会が開かれた!


アダム皇帝が議長のもと

12人の軍団長

「黄金の羽」部隊長サムル

そして有識者である各分野の学者達、医師団による

積極的な意見を交わされていたが

原因を特定できるような結論に

達する事はできなかった・・


その場にラックと

アニー、デル、シズ、ヘルドの出席が許されたが

意見を言える雰囲気はなく

ただ隅の方で 小さくなっていたが・・


ラックだけは

黙って見ていられなくなり 

思わず 発言してしまった・・


「葵巫女様!

私に思うところがあるのですが・・」

ラックの声に 

第十軍団長ゴリアテが叫んだ!


「小童め!!

場をわきまえよ!

お前がリムラ村で

活躍した噂は聞いているが 

お前の力など たかが知れている!

我ら軍団長が原因を突き止められないのに

お前に何ができる!

引っ込んでおれ!!」


「ゴリアテよ!

聞く位なら良いではないか!

少年よ!確か・・ラックと言ったな!

お前は今回の事件をどう思う?

意見があるなら申してみよ!」

第七軍団長の老将サイカがラックを擁護すると

他の有識者達も賛同したので

ラックが発言する事を許された!


「私はリムラ村周辺で

エスタロスの根を

何度も見た事があります!

エスタロスの根は毒性はなく

人害はない筈なのですが・・・


何か他の物と一緒に混入され

化学反応を起こしているように

私は感じるのです!


今王都で流行っている疫病とも

関係しているのではないでしょうか?

それに・・どうも悪種の呪いを感じるのです!」


「悪根の呪いだと!!

我らは感じなかったが・・

サムルよ!お前はどうだ!感じたか?」


「確かに・・・

僅かですが 闇地の微かな魔香を感じます・・

悟られないように 魔術が施されていますが・・・

(この呪いをこの少年は感じたのか?まさか・・)


「素晴らしい!!!!

少年よ!

やはり君は勇者の素質があるようだ!

皆の者聞いたか!

我らが 長時間議論しても

解決の糸口が見つからなかったが

彼は 瞬時に的確な意見を

言ってのけたのだぞ!!」


ラックはアダム皇帝に称賛されると

会議に加わる事を許された


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