第62話  ヨーデル執事

「葵巫女様! 

王都に到着され

休息なく、公務について頂き

申し訳ございません!


巫女宮殿の住まいは整っております

ドルモンド候に案内させますので

休息をおとりください


夕刻、葵巫女様の即位の儀の晩餐会を

王室ロイヤルファミリーで

開催させて頂きます!

王室御用達のロイヤル・ウォラントが

葵様のお召し物をご用意させて頂きます


ドルモンド候

後の事は任せたぞ!!」


「ハハ!

お任せください!!」


「アダム皇帝

ちょっと待って下さい!

私は、これから宮殿で暮らさなくては

いけないのですか?」


「勿論です!

巫女様ご不在の時代も巫女宮殿には

100名の使用人が管理をしておりました

今後、人員を500名に増員する予定です!」


「500名?

そんなに増員する必要があるのですか?

私に世話など必要ありません!

私はガデム村から同行した

友人達とシェアハウスで暮らしたいと思っていたのですが?

ダメですか?」


「シェアハウス!?

とんでもありません!!!

葵巫女様はご自分の立場を

分かっておられません!

この国の最高位に座しておられ


今後のお住まいである巫女宮殿は

この王都宮殿の比ではなく

500年前に建造された芸術的な文化財です

そして国土の10分の1広さがあり

広大な敷地があるのです!

葵巫女様の専属近衛師団5000人と

皇帝直属のエリート部隊

ヘルシングランド隊が

巫女領土をお守り致します!


あと近隣の国の王室と貴族の使者から

巫女府への面会の申込みが殺到しており

貢物が後を絶ちません

今後しばしお忙しくなると思われます!


「アダム皇帝!

私は巫女として立場は理解しているつもりです

しかし今後、生活の拠点は巫女宮殿に置くことは理解しますが

友人達との接点が無くなるのは困ります!!


それに私の巫女としての公務があるのは理解しますが

私がこの国に来て早急に着手したい事があります!

その為にも執事が必要になのですが

誰か適任者はいないでしょうか?」


「早急に着手したい事とは何ですか?

気になりますが・・確かに執事は必要ですね!

ドルモンド家から輩出しましょうか?」


「いえ・・できたら

リムラ村からお世話になっている

ヨーデルさんにお願いしたいのですが

ヨーデルさん引き受けて貰えますか?」


「えっ!?

私が執事ですか?」


「そうです!

あなたが一番ふさわしいと思います!

それに私と共にガデム村から来た者達は

勇者としての素質があり 

将来この国を守る要になるでしょう!

そして今後悪根の術者達との激しい戦いに備えて

妖精族の秘術と戦闘能力を高めていく必要がある!


私も巫女としての能力もまだまだ未熟です・・

だから彼らと共に鍛練し

より高みを目指したいのです!


ヨーデル執事!

その為にもラックやアニー、デル、シズ、ヘルド達と一緒に

住めるシェアハウスを見つけてください!

費用は全て私が出します!

良いですね?アダム皇帝!

これだけは譲れません!!

私が最高位なら一つ位我儘を聞いてください!!!」


「葵巫女様それは!

警備上の問題が・・」


「私は巫女として特別扱いは望みません!

警護が必要なら

ヘルシングランド隊がいれば十分です!


そうだ!隊長のアーバスに

シェアハウスで生活してもらいましょう!

良いアイデアですね!」


葵は言いたい放題だったが

葵なりに今後の巫女として在り方と

巫女府がなすべき使命を考えての事だった!


「ヨーデル執事これを!」

葵は、シェアハスの支度金として

巫女府に納められた献上金の中から

金貨1枚を取り出すと

シェアハウスの支度金として

ヨーデル執事に手渡した


「葵様金貨1枚とは・・・

金額が多すぎるのでは?」


「ラック達はこれから私と一緒に

この王都で生活してもらうのです!

学校にも通う事になりますから

必要経費として

ヨーデル執事が管理してください!

よろしいですね!!」


「承知致しました!」


「葵巫女様

学校に通うとは?

どういう事ですか?

まさか葵巫女様も通われるつもりですか?」


「ドルモンド候

私はまだ13歳ですよ!

まさか学校に通わせないつもりですか?」


「いえ・・・

そういう意味ではなく・・・」


「私はラック達と同じ学校に通います!」


「葵様

ラック達は平民です

葵様とは身分が違うのです!

一般市民が通う学園に通わせるつもりです!」


「では私も同じ学校に!!」


「それだけはなりません!!」

黙って聞いていたアダム皇帝は堪らず叫んだ!


「葵巫女様!

シェアハウスと学校に通う件については

ギリギリお認め致しますが

学校に関してはなりません!!」


「ではどこの学校に通えば良いのですか?

条件は、ラック達と同じ学校ですよ!!

これだけは譲れません!!!」


アダム皇帝は

葵巫女の強い主張に圧倒されてしまった

そして暫く考え込んだ末・・・


「ではこう致しましょう!

葵様は、本来優秀な教師の派遣を

受けて頂くお立場ですが・・・


友人達との入学をどうしても!と

お考えであれば、私の子である王子と王女

そして上級貴族の子供だけが通える

パブリックス学園へ

ご入学して頂きましょう!


本当は平民は入学できないのですが。。

今回は特別です!!


それに彼らは

この国を救う勇者として未来が見えると!

葵巫女様もおっしゃっていましので・・

特別にお認め致します!」


「ありがとう!

アダム皇帝!!

宜しくお願いします!」

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