第61話 金貨100枚の価値

「アダム皇帝!

もう一つの問題

流行病の救済についてですが・・・

何が原因か?

まだ解明されていないのですか?」


「葵巫女様

医師団長カムイより

説明をさせて頂きます!


カムイよ!

現時点で分かっている事

全てを葵巫女様に報告せよ!」


「ハハ!!

葵様 我々医師団の調べでは

王都中央部を流れるピジョン川水域に

異変が起きていると報告があります」


「どうのような異変ですか?」


「この大陸の水はとても澄んでおり

多くの生命が生息しているのですが

水質に異変が見られ

魚が減っているのです・・・

自然の恩恵が受けられないと

我々にも大きな不利益が生じます」


「引き続き調査を行いますが

我々だけでは手が足りず・・・

民間の調査会社に依頼と

薬の開発に莫大の費用がかかるのです・・・」


「どれ位かかるのですか?」


「金貨10枚程です」


「金貨という単価は

私ははじめて聞くのですが

教えて頂けますか?」


「一般労働者の一日の賃金は

銅貨1枚とされております

銅貨100枚は、銀貨1枚と同等 

銀貨10枚は、金貨1枚と同等です」


「つまり金貨10枚は

1万人の労働と同等という事ですね?」


「左様です」


「クリュゼル首相府長!

かなりの大金ですね・・・

国庫には余剰金はないのですか?」


「実は・・・すでに金貨20枚捻出しており

これ以上支出が増えると

国民に重税を課す事になります!」


「それはなりません!

すでに全国民は国税として収入15%を収める義務があり

これ以上税金が増えると

国民生活がさらに窮する事になり

失業者が増えてしまうでしょう」


「私にお金があれば・・・」

葵がそう呟いた時


「葵巫女様!

僭越ながら進言しても宜しいでしょうか?」


「葵巫女様はご自身に

どれだけの財産があるかご存知ないのですか?」


「何を言ってるのですか?

私に財産などある訳が・・・」


するとアダム皇帝をはじめ

その場にいたクリュゼル首相府長をはじめ

上級貴族と大臣達が騒ぎ出した


「ドルモンド候!

葵巫女様に献上金のお話しを

まだしていないのか?」


「アダム皇帝!

申し訳ございません

お伝えしようと思っていたのですが

タイミングが・・・」


「葵巫女様!

スンツヴァル王国は、初代巫女様の恩恵を受け

誕生した国でございます!

初代皇帝以降、45代のアダム皇帝にいたるまで

1000年間毎年、国家予算の1%を献上金として

巫女府に捧げて参りました!

献上金を捧げることで、起源の存在、神の祝福を受けると

我々は信じており、実際多くの恵みと祝福を受けており

我々とこの国は守られ、大きな繁栄を受けてきたのです!


「国家予算の1%?

どれ位の金額になるのですか?

年間の国家予算は金貨1万枚

つまり金貨100枚が巫女府に治めらております」


「1000年と言いましたか?」


「建国された年は

もちろん献上金は少額でありましたが

全盛期は今の2倍の国家予算の時もありました。

巫女府で働く司祭や役人が1000名程おりますし

福祉施設や幼児施設、児童施設

国営美術館、文化施設等の運営を行っております


ドルモンド候の家系が

代々館長を務めており

葵巫女様は 巫女府の長になられます!


巫女府の予算の多くは

必要経費に支出されておりますが


巫女府予算の10%は

巫女様に捧げられております!

それ以外に他国の信徒から捧げられる

巫女基金もございます!


歴代の巫女様はご自分への

献上金や基金を管理しておられましたが

その多くは、どこに保管されているか?

我々には分かりません

伝説では、初代巫女様が生誕された大陸エデンに

巫女様だけが入る事をゆるされる聖域に

保管されている可能性があるとのこと」


「そうなのですか?

今私がどれだけの献上金を自由にできるか?

分かりませんが、巫女府という機関があることも

これまで詳しくは知りませんでした


とりあえずドルモンド候!

巫女府にはどれだけの余剰金があるのですか?

今回金貨10枚必要なようですが

捻出できますか?」


「もちろんです!

葵巫女様 巫女府には

歴代の巫女様より管理を任された金貨が

約10万枚ございます!」


「10万枚?

そんなにあるのですか?

では至急、巫女府より

金貨100枚を出してください!」


「100枚ですか!?

多過ぎるのではないですか?」

一同はかなり驚いていた


「アダム皇帝!

早期解決の為に、巫女府より

金貨100枚と人員を派遣します!

一日も早い解決を!お願いします!!」


「承知しました!」


「ドルモンンド候も

それでよろしいですか?」


「仰せのままに!」

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