第8話 母のサンドイッチ

ラックは朝から 

とてもソワソワしていた


「母さん!

お願いしていたもの準備できた?」


「大丈夫よ!

父さんとあなたと もうひとつ

これは誰の分なのかしら?」


「それは・・・」


「まぁ いいわ

今日は父さんについて

リムラ村に行くのよね?

気をつけて行ってらっしゃい!」


「はい!

行ってきます!」


「ラックったら 

あれほどリムラ村に行くのを嫌がっていたのに

どういう心境の変化があったのかしら? フフフ」」


「しかし例の親子・・心配ね

ヨーデルが、ずっと気にかけていたのに・・

今回のような事件が起きてしまうとは・・


もっと早く 

助けてあげたかった・・


でもこれからはラックが 

きっと力になってくれるわね!


ラックはこれまで

内にこもるタイプで

自分の意見を言う子ではなかったけど・・

私に、サンドイッチを作って欲しいなんてお願い・・


何だか・・・

とても頼もしく感じるわ!

よほど あの子の事が気になるようね!」


ラックの母シオンは

男らしくなった息子の姿を見て 

頬を涙で濡らすのであった


□◆□◇◆


「葵ちゃん

元気にしてるかな?」


葵はどこにもいない・・・


「もしかして また?」

ラックは作業小屋とデムの実の畑の

道中に葵が倒れているかも?

と心配をし、必死にあたりを探し回った


「葵ちゃん!!葵ちゃん!

どこにいるの?」


ラックは 

声を張り上げて葵の名を呼んだ!


すると森林の中から 葵は姿を現した

「ここよ!ここいいるわラック!!」


葵はニコニコ笑顔で 

ラックに返事をした


「葵ちゃん!!

ここにいたのか!?」


「うん!

今日は仕事が早く終わったから

散歩していたのよ」


「そうなんだ・・・」


ラックは安堵した

そして元気そうな葵の姿を見て 

胸が熱くなるのを感じた


(良かった!本当に!!)


「今日は とても良い天気で

気持ちが良い日だね!」


「本当にそうね!

ラックは父さんの仕事についてきたの?」


「うん!荷物運んだり 

手伝おうと思ってさ!」


「偉いわね!」


(本当は 葵ちゃんの事が・・

ずっと心配だった・・なんて言えないな・・)


ラックは葵と しばらく

行動を共にすることにした


「葵ちゃん元気にしてた?」


「うん とても元気よ!」


(確かに・・・初めて合った時に比べ 

表情が明るくなったように思える)


「何か良いことでも あったの?」


(ダンさんが優しくなったのかな?)


「うん! 

とても素敵なことよ!」


「なに?教えてよ・・」


「内緒(笑)」


「えっ?何だろう? 教えてよ!」


(まぁいいか!

葵ちゃんが元気なら 

それで十分だ!)

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