美食家
荼八
第1話
薄い壁越しに聴こえる君の悶える声に私は沢山の想像を膨らませ、笑顔で扉を叩いた。君は泣きながら僕を見つめていた、自分に向け続け飽和したリビドーとデストルドーが私に突き刺さり更に口角が上がるのを感じた。こんな私にもこれだけの感情をわけてくれる君が愛おしく思えた。君は悪くないんだ、強いて言うば君を取り囲む環境が悪いんだよ。それに毒されている君は他の誰かよりも、君を君たらしめていて美しい。だから、その苦悩を私にもうひと口だけ食べさせて欲しい。それだけで、救われるよ。だから、私に近寄って来て、もっと傍にきて。なんて麗しく馨しいのだろう。噎せかえりそうな程に、真っ赤じゃないか。
美食家 荼八 @toya_jugo
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